かみ合わせ(咬合)

慢性的な肩こりや頭痛に悩まされている方は多いのではないでしょうか?
日常的な歯ぎしりや普段何気なく行う習慣によって顎の位置やかみ合わせが変化することで、体に歪みが出てしまうことがあります。
かみ合わせの変化から起こる体の歪みを放置すると、日常生活にも支障をきたしてしまうことも少なくありません。

かみ合わせの重要性

歯科医院で行う「虫歯」や「歯周病」の治療は、健康的な生活を送るために必要不可欠です。歯と口の健康を維持することで咀しゃく機能が向上し、より快適な食事や会話が楽しめます。

しかし、歯と口だけでなく、全身の健康を気遣うのであれば「かみ合わせ」についても考える必要があります。
後述する健康被害は、かみ合わせが悪いことで起きる可能性があり、さまざまな症状がお口の中だけでなく全身に現れる可能性があるのです。

最近、子供たちの中で歯や口、顎の発育が不十分なケースが増えています。その理由は、最近の食品は柔らかくてかみごたえが少ないため、これらの負担が軽減されてしまっているからです。
かみ合わせを歯の治療において考えることは、健康上きわめて大切な要素であることは間違いありません。

このような症状はないでしょうか?

下記は顎関節やかみ合わせに問題のある方によく見られる症状です。
当てはまる項目のある方は当院で検査を受けることができます。お気軽にお問い合わせください。

CHECK!

■口を開ける時、閉じる前に顎関節に痛みがある
■顎を動かすとジャリジャリ、ミシミシなどの音がする
■かみ合わせに違和感がある。どこでかんで良いのかわからない
■以前と比べてかみ合わせが悪くなってきている。前歯がかみ合っていない
■口が大きく開かない
■顎まわりの筋肉に痛みがある
■頭痛、首痛、肩こりがある。目が疲れやすい

かみ合わせが悪くなる原因

姿勢の悪さ

普段何気なく取っている姿勢はあなたのかみ合わせに大きく影響します。
バッグをいつも同じ片側の肩にかけている方、夜寝るときにいつも同じ方向を向いて寝ている方、また足を組んで座っていることの多い方は体の歪みを引き起こし、かみ合わせのズレが生じることがあります。

悪い癖や習慣

「頬杖をつく」といった何気ない癖や習慣もかみ合わせに影響を与えている場合があります。
長時間頬杖をついたままでいると、顔に同じ方向から力が加わることで顎顔面の骨を変形させてしまうのです。
また、「食べ物を右、または左でいつもかむ」といった「かみ癖」もかみ合わせを悪くする原因です。

歯ぎしりや食いしばり

ストレスを抱えることが多い方や、緊張する場面にさらされることが多い方は筋肉が緊張することで食いしばりが起こったり、睡眠中の歯ぎしりを生じさせます。
歯ぎしりや食いしばりは顎関節に大きな負担になり、かみ合わせの歪みを誘発する原因になります。

かみ合わせが悪くなることの悪影響

かみ合わせが悪化すると、身体に悪影響を及ぼす可能性があります。

虫歯や歯周病になりやすくなる

かみ合わせが悪いと歯についた汚れが自然に落ちにくくなるため、虫歯になりやすくなります。
また、正しくかめている歯に負担が集中し、補綴装置(詰め物・被せ物等)の破損や歯周病のリスクを高めます。

顔に歪みが出やすくなる

左右どちらか片方の歯でばかりかんでいると、顔の表情筋や咀嚼筋(そしゃくきん)のバランスが崩れるため、顔が歪んでしまうことがあります。
筋肉の厚みによってその下の骨が変化するため、顎の形も変化します。

頭痛・肩こりになりやすい

かみ合わせが悪化することにより、様々な筋肉のバランスが崩れます。
顎の関節から頭の横にかけて走っている側頭筋が緊張することにより頭痛が、かむ筋肉と首や肩にかけて繋がる広頸筋(こうけいきん)のバランスが崩れることにより肩こりがそれぞれ起きやすくなってしまいます。また、咀嚼筋群の痛みが歯の痛みとして認識されることもあり、本来は問題がない歯に対して、誤った歯科治療が施される事例も報告されています。

歯科治療が難しくなる

かみ合わせの悪い方は、歯が斜めに生えていたりするなどの位置異常をきたしていることが多いため、治療器具が適切な位置に到達できず、健康なかみ合わせの方と比較して、歯科治療の難易度が高くなる傾向があります。
また、かみ合わせの悪さが原因で特定の歯に力がかかり、治療後に歯や詰め物が割れる、あるいはやむを得ず歯を削る量が多くなり、詰め物・被せ物と神経が近くなることで痛みがでるといったことがあります。

かみ合わせの治療

生活習慣の改善

かみ合わせを悪化させる習慣や癖を自覚することが大切です。
歯科治療で歯ならびのバランスを整えつつ、癖がでないように注意して日常生活を送ってもらうことが重要になります。また、顎の筋肉の緊張をほぐすマッサージやストレッチも効果的です。

マウスピースによる治療

歯ぎしりや食いしばりによる歯の磨り減りによってかみ合わせが悪化している場合、対症療法にはなりますが、マウスピースで保護する治療法があります。

早期接触の除去

かみ合わせ異常の原因のひとつに「早期接触」という症状があります。
普通、リラックスした状態で口を閉じると、だいたい全ての歯が同時にかみ合います。しかし、一部の歯だけが先に接触してしまうのが早期接触です。
特定の歯だけが先に接触してしまうと、食事や会話の際に痛みや違和感を感じるので、人は無意識のうちに早期接触を避けるようなかみ方をするようになっていきます。
そして、そのようなかみ方を長い間続けていくうちに、顎の骨や関節が変形し、顎関節症を引き起こしてしまいます。
また、早期接触の原因が銀歯やブリッジだったというケースもあります。せっかく歯を治療したのに、それが早期接触の原因になってしまっては、元も子もありませんが、虫歯などを治療する際に、かみ合わせを正しく確認しないとそうしたことも起こり得るのです。
早期接触を見つけた場合は、慎重に精査した上でかみ合わせの調整を行い、除去を試みます。

矯正歯科による歯ならびの改善

元々の歯の位置異常が原因でかみ合わせの不正が生じている場合は、どんなに生活習慣を変えても、改善できるかみ合わせの程度には限界があります。根本的には矯正歯科治療によって正しい歯ならびに直してもらうことが望ましいでしょう。しかし、年齢や歯周病の程度によっては、矯正治療が適応外になることもありますので注意が必要です。

補綴歯科によるかみ合わせの改善

補綴(ほてつ)歯科とは、見た目やかみ合わせをクラウンやブリッジ、入れ歯、インプラントなどの人工の歯で補う治療法のことです。これらの人工の歯を総称して補綴装置と呼びます。
治療した補綴装置が不適切でかみ合わせの不正が生じている場合、または自分の歯が大きく磨り減っていてかみ合わせの不正が生じている場合は、上記に挙げた治療法だけでは改善が見込めないことがあります。生活習慣を改善し、必要に応じて矯正治療を行い歯を正しい位置に移動した後に、不適切な補綴装置を新しく作り直します。複数の歯を治療し直す場合は、一度仮歯に置き換えてかみ合わせの具合を再評価し、十分な改善が確認できてから最終的な補綴装置を製作するので、治療期間が長期に及ぶことがあります。