よくある質問 【入れ歯・義歯に関する質問】

Q:入れ歯とはどういうものですか?

A:虫歯や歯周病といった病気、あるいは事故や怪我によって歯を失った場合に、歯の機能を補ってくれる人工物の一つが入れ歯です。現在では、多くの種類の入れ歯があり、それぞれ違った特徴を持っています。入れ歯はネガティブなイメージを持たれることが多いですが、正しく使うことで健康な食生活を維持することができ、生活の質の向上や全身の健康に大きく貢献します。

Q:なぜ歯を失ったまま放置してはいけないのですか?

A:歯がない状態をそのままにすると、歯並びに隙間が生じていますので、残っている歯の位置が変化し、虫歯や歯周病に罹りやすくなります。また、噛みにくいので、食事の内容がより柔らかいものに変化したり、左右のどちらか偏った顎で咀嚼をするようになります。すると、消化吸収も悪くなり、胃に負担がかかるようになります。次第に顎の動きも変化するので関節に負荷がかかり、顎関節症になってしまうこともあります。失った歯の本数が多いと、発音や見た目にも影響が出ます。こうした歯を失うことにより起こる二次的、三次的な障害を予防するために、歯を失った場合は、早い段階で入れ歯などの人工物で補ってあげる必要があります。

Q:部分入れ歯とはどういうものですか?

A:部分的に歯を失った場合に装着する入れ歯です。1本だけ歯を失った人から、反対に1本しか歯が残っていない人でも作ることができます。そのため、部分入れ歯の設計は非常に多様で、一つとして同じものはありません。自分のお口に最も合った入れ歯を歯医者さんで作ってもらいましょう。

Q:総入れ歯とはどういうものですか?

A:上あごまたは下あごの歯をすべて失った場合に装着する入れ歯です。入れ歯にかかる力は、基本的に全て歯ぐきで負担しますので、噛み心地や快適さは、残っている顎の骨や歯ぐきの状態によって大きく左右されます。

Q:入れ歯はどのようにして作るのですか?

A:「型取り→かみ合わせの記録→(顎の運動の記録)→完成前のチェック→完成装着」の流れで作ります。失った歯の数にもよりますが、およそ2~7回ほどの来院で完成します。一般的には、失った歯の数が多いほど、入れ歯作りには時間を要します。ただし、虫歯や歯周病に罹患している場合は、そちらの治療を優先することがあります。

Q:入れ歯を作ったらすぐに噛めるようになりますか?

A:残念ながらすぐに何でも噛めるようになるわけではありません。
入れ歯はいわば義手や義足と同じような人工の臓器です。入れ歯を作ったらまずは積極的に使ってみて身体に慣れさせる必要があります。いわば歯を失ったお口のリハビリテーションです。そこで見つかった入れ歯の不具合は歯科医院で調整を行います。このサイクルの繰り返しで、入れ歯が次第に自分の体の一部となっていきます。

Q:入れ歯で硬いものはかめますか?

A:お口の中にどれぐらいご自身の歯が残っているかに左右されます。自分の歯がたくさん残っている(=入れ歯で補う歯が少ない)人であれば、入れ歯でもそれなりに硬いものが食べれますが、自分の歯がほとんどない(=入れ歯で補う歯が多い)人は天然の歯のように強く噛むことはできません。また、入れ歯に使う材料によっても噛み心地は左右されるので、まずは歯医者さんに相談してみましょう。

Q:入れ歯を作りましたが痛くてかめません。自分には入れ歯が向いていないのでしょうか?

A:入れ歯を作ってから歯医者さんで何回くらい調整してもらいましたか?入れ歯を作ったことで治療は終わりではありません。むしろ、新しい入れ歯がお口に入ってからがリハビリテーションのスタートです。明らかになった入れ歯の不具合は、使いながら歯科医院で調整していく必要があります。馴染むまでの期間も個人差がありますので、まずは歯医者さんで診てもらいましょう。

Q:入れ歯の普段のお手入れはどうしたら良いのですか?

A:食事の後は外して歯ブラシや入れ歯専用ブラシで洗うようにしてください。そのままにしておくと、バネをかけている歯が虫歯になったり、口内炎になることがあります。また、夜は外して就寝するのが原則ですが、その間は入れ歯洗浄剤を使って化学的な洗浄を行ってください。熱湯消毒は入れ歯が変形しますので絶対に行わないでください。

Q:入れ歯を外した時はどのようにして保管すれば良いですか?

A:水中に保管してください。
入れ歯の材料として使われているアクリルレジンは乾燥すると変形することがありますので、お水を張った入れ歯ケースや食品用タッパーに入れて保管してください。夜間の就寝時に外して保管する際は、入れ歯洗浄剤を使用してください。なお、部分入れ歯は金属の腐食を防ぐために、洗浄剤は部分入れ歯に対応したものを使用してください。

Q:入れ歯でも定期検診は必要ですか?

A:必要です。
自分では問題ないように感じていていても、入れ歯を支える歯ぐきや、バネがかかっている歯の状態が変化している場合があります。特に部分入れ歯を使用している方は、気づかないうちに、残っている歯の虫歯や歯周病が進行している場合もあります。歯科医院で定期的な入れ歯の調整をしてもらいましょう。

Q:他の歯医者で作った入れ歯が合いません。診てもらえますか?

A:基本的には作ってもらった先生の診察を受けてください。
入れ歯の設計は作った先生が一番良く分かっています。ですから、入れ歯の調整は作った歯科医院で行うのが原則です。ただし、前医の受診が困難な場合は、当院で調整可能な範囲で対応いたしますが、もし当院での調整が難しいと判断した場合は、新しく入れ歯を作り直すことをご提案させていただく場合もございます。

Q:入れ歯がよく割れます。どうしてでしょうか?

A:入れ歯の材料の強度不足が考えられます。
保険診療でよく用いられるレジン床義歯は、噛む力が強い方の場合、材料自体の強度不足により割れてしまうことがあります。この場合、入れ歯の設計変更(修理・改造)で対応したり、より強度のある金属床義歯で新しく作り直すことをご提案させていただく場合がございます。実際に診てみないと分からないことが多いので、まずは歯医者さんで原因を明らかにしてもらいましょう。

Q:入れ歯の裏に食べかすがよく入ります。どうしてでしょうか?

A:入れ歯がお口に合っていない可能性があります。
入れ歯を長く使っていると、歯ぐきが変化したり、バネが変形したりするなどして隙間が生じ、食べかすが入りやすくなることがあります。この場合は入れ歯の調整が必要です。一方で、元々の入れ歯の設計上、どうしても歯や歯ぐきとの間に隙間が生じざるを得ない(=あえて隙間を設けている)部分もあります。また、入れ歯は食事の際に多少動きますので、元々はピッタリした入れ歯でも、その時に生じた隙間から入ってしまう場合もあります。まずは、歯医者さんで原因を調べてもらうのが良いでしょう。

Q:入れ歯安定剤は使ったほうが良いですか?

A:基本的には使わないでください。
入れ歯安定剤を日常的に使用していると、入れ歯と歯ぐきの当たり方が変化し、次第に歯ぐきの形が変わってしまいます。すると、ますます入れ歯が合わなくなり、入れ歯安定剤が手放せなくなる悪循環に陥ります。歯医者さんから指導された場合を除いて、入れ歯安定剤は歯医者さんを受診するまでの急場しのぎ程度に使いましょう。

Q:入れ歯が歯ぐきに当たって痛いです。我慢して使っていれば治りますか?

A:自然に治らないことの方が多いです。
入れ歯の痛みを我慢していると、歯ぐきに傷がついて潰瘍に発展することがあります。本当に稀ではありますが、入れ歯の慢性的な刺激が原因で歯ぐきの癌になることもあります。したがって、3〜4日くらい様子をみても治らない場合は、早めに歯医者さんで診てもらうことを推奨します。

Q:自費と保険の入れ歯でどう違うのですか?

A:設計の自由度が大きく違います。
保険診療では設計や使用できる材料に制約があるため、患者さんの訴え(入れ歯が分厚い、よく割れる、外れやすい、バネの見た目が悪いなど)を十分に解決できない場合があります。自費診療ですと設計に制限はありませんので、患者さんの意向を可能な限り反映させることができます。ただし、自費の入れ歯でも定期的な調整は必要になりますのでご注意ください。

Q:インプラントを使った入れ歯があると聞きました。本当ですか?

A:本当です。
インプラントを支えにして、入れ歯に加わる力をインプラントと歯ぐきに分散させた入れ歯です。インプラントが支えになるので、通常の入れ歯に比べて、噛みやすい、入れ歯が外れにくいといったメリットがあります。ただし、治療は基本的に保険適応外の自費診療になります。

Q:入れ歯の金属のバネが見えるのが嫌です。金属のバネを無くすことはできませんか?

A:自費診療の入れ歯ですと可能です。
ミラクルデンチャー、ノンメタルクラスプデンチャー、インプラントオーバーデンチャーといったものが該当します。しかし、金属を全く使わない入れ歯ですと、強度が不足するので実際はよく噛めません。したがって、当院では見た目に影響する部分はバネを無くしても、入れ歯の性能に大きく影響する部分には、外からは見えにくいように金属を使用することで、見た目と性能の両立を図るようにしています。

Q:入れ歯の違和感が強くて長時間つけていることができません。入れ歯を外したままでも良いですか?

A:良くありません。
入れ歯を外したままにすると噛み合わせが悪くなるので、特定の歯に強い力がかかるようになり、歯が動きます。すると、せっかく作った入れ歯が余計に合わなくなり、使えなくなってしまいます。ですから、入れ歯の違和感が強い場合は早めに歯医者さんで調整を行ってもらいましょう。また、違和感とは具体的にどういう症状なのか(痛み、異物感、かみ合わせが高いなど)を歯医者さんに伝えると、調整も比較的スムーズに進みます。