口腔外科

口腔外科とは

お口の中(口腔:こうくう)や顎、顔面の疾患に対して主に外科処置を行う専門分野の一つが「口腔外科」です。
治療内容には、深く埋まった親知らずの抜歯や口内炎などの口腔粘膜の病気、お口の中のケガ、顔まわりの骨折、顎の骨の腫瘍や膿の袋の治療などがあります。
これらの疾患は、食べる、話すなどの機能を阻害し、外見にも大きな影響が出る場合があり、「口腔外科」の治療を行うことで、お口や顔回りの形態や機能、審美性を回復させることになります。

口腔外科で扱うさまざまな症状

口腔外科で扱う疾患の対象は幅広く、次のような疾患の治療にあたります。

親知らずの抜歯

生えてくる際に十分なスペースを確保できない親知らずは、横や斜めを向いて骨の中に埋まっていることがあります。特に少しだけ生えている場合には親知らずの周りの歯ぐきが炎症を起こしやすく、痛みが出たり、腫れてくる場合があります。このような場合、親知らずを抜くことになりますが、簡単には抜けないことが多いです。そのような時に、歯ぐきを切って、歯を削ったり、骨を削るなどして抜歯することになります。抜歯が困難と予想される場合には、近隣の総合病院の歯科口腔外科をご紹介いたします。

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過剰歯(かじょうし)の抜歯

一般的に永久歯の本数は、親知らずの歯を入れて32本です。ところが人によっては、余分な歯が生えてくることがあります。こうした通常より多い歯のことを「過剰歯」と呼びます。
過剰歯があることにより次のようなさまざまな問題が生じます。

  • 歯並びが乱れる
  • 歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯周病を引き起こす
  • 正常な永久歯が生えてくるのを妨げる
  • 他の永久歯の根を溶かす
  • 過剰歯の周りに嚢胞(のうほう)ができる

このようなことから、過剰歯は放置せずに、抜歯したほうがよいと思われます。

口腔の炎症

虫歯や歯周病が原因で歯ぐきが腫れて膿んでくる場合があります。その際は原因となっている歯の治療をしたり、腫れて膿が溜まっている場合(膿瘍)は切開して膿を出します。
 お口の中の粘膜(舌、頬、唇など)に炎症が生じた場合、多くは「口内炎」です。口内炎は軟膏を塗ったりして様子を見るようになります。約2週間ほどで治ります。
 また、炎症が皮膚の深部にまで及んだ蜂窩織炎(ほうかしきえん)や、顎の骨の中に広範囲に及んだ骨髄炎(こつずいえん)、骨粗鬆症のお薬の副作用によって起こる顎の骨の壊死(薬剤関連学骨壊死)などの重篤な炎症の場合は、症状によっては近隣の総合病院の歯科口腔外科をご紹介いたします。

お口の中やその周囲の外傷・歯の破折等の治療

スポーツや交通事故、転倒などによる顎や顔面(皮膚・口唇・歯ぐき・舌など)の外傷に対して処置を行います。
歯の破折・脱臼が軽度であれば当院で治療を行いますが、歯が骨の中にもぐってしまった場合、外傷が複数の歯に及んでいる場合、顔面に大きな裂傷を生じている場合、顎の骨の骨折が疑われる場合などは、近隣の総合病院の歯科口腔外科をご紹介いたします。

顎骨や口腔軟組織の腫瘍
(良性腫瘍、舌がん、歯肉がん、頬粘膜がんなど)の治療

腫瘍とは、細胞が異常に増えてできた塊で、良性と悪性の2種類があります。
お口の中や顎にできた腫瘍や嚢胞(のうほう)は、レントゲン検査などを行い、さらに精密な検査が必要な時は、必要な時は近隣の総合病院の歯科口腔外科をご紹介いたします。

口腔粘膜の疾患

お口、唇、舌の粘膜にできる病気も口腔外科で治療を行います。
白板症や口腔カンジダ症、扁平苔癬、アフタ、口腔乾燥症など、多様な疾患がみられます。口腔粘膜の疾患には「口腔潜在的悪性疾患」と呼ばれる悪性化する可能性の高い疾患もあるため、気になる場合は早めにご相談ください。

嚢胞(のうほう)摘出

嚢胞(のうほう)とは、病気によって生じる袋状のものです。中には主に液体状の成分が詰まっています。
口の周囲では、舌、唇、頬の粘膜などにできる水ぶくれのような「粘液嚢胞」がよく見られます。噛んだりしてつぶすと一時的には治ったように見えても、再発することが多く、大きくなったり固くなったりすることもあります。治療では、嚢胞を切除します。
また、歯の根の先に膿がたまる「歯根嚢胞」という病気もあります。虫歯が原因で神経まで細菌が感染し、根の先に炎症が残っている場合です。歯の神経の治療をしたり、根の先の感染している部分を手術で取り除くことが行われます。当院で摘出できない時は、近隣の総合病院の歯科口腔外科をご紹介いたします。
また、その他の顎の骨の中にできる嚢胞についても、近隣の総合病院の歯科口腔外科をご紹介致します。

顎関節症

下記は顎関節症の3大症状といわれています。

  • 口を開けるとき、カクッというような音が耳の前あたりで鳴る(関節雑音)
  • 口が開けにくくなった(開口障害)
  • 顎が口を開けたり閉じたりするときに痛む(開口痛)

耳の前あたりにある関節が顎関節です。顎関節にかみ合わせの異常などが原因で無理な力が加わり続けると、顎関節の動きをサポートする関節円板(軟骨)が正常な位置からずれてしまったり、ひどくなると顎関節の骨が変形し、正常な顎の動きが阻害されます。また、顎関節周囲の筋肉に過剰な緊張を強いることになり、筋肉の痛みを生じてしまいます。
歯ぎしりや食いしばり、かみしめなどの習慣や噛み合わせの不調和、外傷やストレス、姿勢の悪さなどが原因とされています。

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歯の移植(自家歯牙移植)

お口の中の使っていない歯(親知らずなど)を、抜歯した部分へ移植する治療法を自家歯牙移植といいます。ただし、適用できる条件は限られ、誰でもできるというわけではありませんので注意が必要です。

その他の疾患

その他には、「口唇口蓋裂などの先天異常」「顎変形症などの骨格性の不正咬合」「唾液腺の疾患」「三叉神経痛や顔面神経麻痺などの口腔顎顔面の神経性疾患」「舌痛症などの舌の痛みや味覚障害』などがあります。いずれも専門性が高いため、当院での治療が難しい場合は、近隣の総合病院の歯科口腔外科をご紹介いたします。