お口ポカンは歯並びが悪くなる!

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「お子さんがテレビを見ている時、ゲームをしている時、ふとした時にお口が開いたままのお口ポカンではありませんか?」
「あ!そういえばうちの子、いつも口開いている!」と答えた方、このお口ポカンは全身の健康に様々な症状を引き起こします。
そこで今回は、小児のお口ポカンが引き起こす歯並びや全身への影響についてご紹介いたします。

お口ポカンは口呼吸の証拠

お口ポカンを続けていると、口で呼吸する口呼吸をしている可能性が高いです。
哺乳類の多くは、鼻から息を吸って鼻から息を吐くという鼻呼吸をしています。ということは人間も本来は鼻呼吸が基本です。でも、しゃべる、歌うなど言葉を発する時や、スポーツなどの酸素を多く必要とする激しい運動をする時は口でも呼吸します。このように人間は口でも鼻でも呼吸ができるのです。
でも、この口呼吸は人の体に様々な弊害を生じさせます。

お口ポカンいわゆる口呼吸の弊害

お口ポカンすなわち口呼吸をしていると以下のような弊害が考えられます。
①細菌やウイルスなどの異物が口から直接肺に入るため、アレルギーなどいろいろな病気にかかりやすい
②口が乾燥するため、むし歯や歯周病にかかりやすい
③口臭がする
④歯並びが悪くなる
⑤顔貌や姿勢が悪くなる
⑥夜寝ていると、いびきをかいたり、歯ぎしりをする
⑦夜寝ている途中で呼吸が止まる
⑧食べるのが遅い
⑨クチャクチャ音を立てて食べる
⑩喋り方がおかしい
⑪下唇が厚く、唇がカサカサしている
⑫学力の低下や、注意力が散漫となる
⑬成長障害を起こす
など、挙げられる弊害は多岐に渡ります。

お口ポカンの原因は

では、なぜお口ポカンになってしまうのでしょうか?
そこには、どうしても口を開けて呼吸しないと息苦しくなり、自然とお口を開けて口呼吸をしなければならない理由があります。
その理由として、次のことが考えられます。 
①舌の問題:舌の位置や舌の筋力低下、舌に付着する小帯(歯ぐきから伸びた“ひだ”の部分)の長さ
②口腔周囲の筋肉の問題:頬や唇などの口周りの筋力の低下、上唇に付着する小帯の付着位置
③耳鼻科的な問題:鼻つまり、鼻汁、鼻炎など
④気道の問題:アデノイド肥大や扁桃肥大、扁桃腺炎
⑤小さい時からの習慣、癖
などです。

お口ポカンは歯並びに悪影響

お口ポカンいわゆる口呼吸の弊害の中でも、特に歯並びへの影響についてお話しします。
常にお口ポカンのまま過ごしていると、歯並びが悪くなります。
歯は上顎と下顎のそれぞれの骨の中に生えますので、まずはそれぞれの顎が正常に発育するかことが大切です。その中で歯は、歯に及ぶ筋肉のバランスが釣り合うことで並びます。つまり、歯には外側から唇と頬の力がかかり、内側から舌の力を受けます。どちらかの力が強いとその影響を受けて歯が並びます。
お口ポカンでいると、舌の位置が上顎に付いていないで下がっているため、歯に対する内側からの圧力が働きません。そのため、外側の唇や頬の筋肉の影響を受け、上顎の内側に並ぶようになります。結果上顎が狭く小さくなります。
上顎の発育が弱いと、顔の発育にも影響を及ぼします。つまり、上顎が十分発育しなくなるため、上部にある鼻の空洞も狭くなり、さらに脳を入れる頭の発育も小さくなります。鼻の空洞が狭くなれば、鼻詰まりや鼻炎を起こしやすくなります。また、頭の発育も小さければ学習能力にも影響を及ぼす可能性があります。
また、鼻呼吸しにくくなるため、お口を開けて口呼吸するようになります。口を開けていると、咽頭部も乾燥しがちになり、細菌繁殖の温床となり炎症を起こします。アデノイドや扁桃腺の肥大や炎症を起こしやすくなり、さらに気道を狭めることになります。気道が狭くなると呼吸しづらくなるため、口を開けて、下顎を下に下げ、頭を前方に傾ける姿勢を取るようになります。結果猫背のような姿勢になります。
このように、お口ポカンから上顎の発育の問題、呼吸の問題、姿勢の問題、はたまた学習能力の問題まで生じる可能性があるのです。

お口ポカンにどう対処すればいいの

このようにお口ポカンは全身に様々な悪影響を及ぼしますので、できるだけ早期に改善したいと思います。
まず、お口ポカンになった時期があるはずです。もともと出産後赤ちゃんは鼻呼吸をしています。お母さんのおっぱいを飲むときもきちんと鼻呼吸しながら口を閉じて飲んでいると思います。離乳食が始まると口を閉じてお口をモグモグさせて食べ、唾液を出しながら、きちんと飲み込んでいるか見てください。鼻つまりがあるとこのように飲み込めませんので、耳鼻科で診てもらう場合も出てくるでしょう。
きちんと離乳食から普通の食事に変わり、でもいつの間にか、お口ポカンに変わっていて、クチャクチャ音を立てて食べるようになったり、嚥下も変な仕方で飲み込むようになってくると早期に対応が必要となります。
きちんと鼻呼吸していたのに、いつの間にか、6ヶ月以上に渡り口呼吸に変わっていると、もう鼻呼吸に戻れなくなると言われています。従いまして、このような変化にいかに早く気づくのかが大切になります。
もし、お口ポカンに気づくのが遅れて、もう口呼吸している場合は、先に挙げた原因と考えられることについてひとつづつ探っていき、対処する必要があります。
①習慣や癖であれば、日頃から口を閉じ舌を上顎に付けて鼻呼吸するよう注意する
②鼻や喉の問題が疑われれば、耳鼻咽喉科を受診する
③唇や舌の小帯が問題であれば、小児歯科や口腔外科で対処してもらう
④口腔機能の低下が認められれば、トレーニングして機能の向上に努める
⑤歯並びに影響が出れば、矯正治療で改善に努める

当院での歯並び矯正

お口ポカンに対する治療法の中でも、当院での矯正治療について簡単にお話しします。
当院での小児歯科矯正は小学校入学時から始まります。前歯の永久歯が並ぶようになり、その時に歯が重なっているとか、噛み合わせが反対であるとか、逆に出っ歯であるとか、1~2年生くらいでそのような状況がわかってきます。その時が治療の始まりのタイミングです。小学1年生から3年生までが矯正治療開始の対象年齢です。通常矯正治療には3年くらいかかります。最終的には永久歯が全て生え揃うまで経過を見るようになりますので、小学生の間は通院することになります。さらに12歳になって萌出する奥歯の永久歯が生え揃うまで経過を見るようになります。従いまして、ある程度長期に渡り治療と経過観察が必要になりますので、ご家族のご理解とご協力が必要になります。

まとめ

お口ポカンが抱える問題点につきまして、特に小児を対象とした見解につきましてお話ししてきました。「口を閉じ、舌を上顎に付けて、鼻呼吸する」ことが健康につながる最も大事な点です。このことができない場合、特に小児においては早期に改善することが大切だと思います。気になる方は当院にご相談ください。

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