子どもの虫歯を予防するためには?

仙台市泉区 明石台歯科医院 子どもの虫歯を予防

子どもの虫歯を予防するためには、普段どのようなことに気をつければよいでしょうか?
キーワードは以下の5項目です。
①歯磨き
②食生活
③定期的な歯科検診
④フッ素の応用
⑤シーラント
今回のコラムでは、小児歯科の視点からそれぞれの項目についてご説明致します。
(②④については別のコラムで詳しく述べたのでここでは割愛します。)

虫歯ができる要因

虫歯は、歯の表面(歯面)に付着した口腔内細菌によって歯が崩壊していく病気です。
虫歯の発症には、以下の4つの要因が関係しています。 

(1)病原要因
(2)個体要因
(3)環境要因
(4)時間

この4つの要因のことは”Newbrun(ニューブラン)の4つの輪”と呼ばれております。この4つの要因について具体的にお話しします。(図参照)
虫歯発症の「Newbrun(ニューブラン)の4つの輪」

(1)病原要因

病原要因とは、お口の中に棲んでいる微生物(口腔内細菌)のことです。虫歯は、食べかすや口腔内細菌によって形成されたプラーク(歯垢)というものが付着した部位に発生していきます。口腔内細菌には、虫歯の原因となる細菌、歯周病の原因となる細菌、特に病気などを引き起こさない細菌など様々な種類の細菌があります。その種類や数、割合には、個人差があり、また幼児期から成人期にかけて同じ人の口の中でも変化がみられます。虫歯の原因となる細菌だけをみても、さまざまな種類の細菌があり、細菌の餌となる糖の種類も異なります。主な虫歯原因菌であるミュータンスレンサ球菌は、砂糖(スクロース、ショ糖)を餌としており、砂糖を取り込むと、プラークを形成し、そして酸を産生します。この酸によって、硬い歯が溶かされることで虫歯となるのです。

(2)個体要因

個体要因は、
①人種、性別、年齢による要因
②唾液の要因
③歯の要因
に分類できます。
人種は、食習慣や歯磨き習慣のようなライフスタイル違いが虫歯の発症に影響を及ぼしたり、性別では、例えば女性は妊娠・出産・育児に伴い虫歯や歯周病のリスクが高まるなどです。また、口呼吸や、服用薬の影響などで唾液の量が減少すると、お口の中が乾燥して虫歯になりやすくなります。また、歯については、歯の種類によって虫歯のなりやすさが異なります。例えば、乳歯では上の前歯と上下の奥歯は虫歯になりやすいとされています。特に歯と歯の間や奥歯の溝の部分は虫歯になりやすいです。乳歯や生えたばかりの永久歯(幼若永久歯)は、通常の永久歯よりも歯の成熟度(硬さ、質)が未熟であるため、虫歯になりやすいです。

(3)環境要因

環境要因は、主に飲食物の要因のことです。飲み物や食べ物に含まれる糖質によって、虫歯となります。また、食べ物の物性も影響を与えます。例えば、肉や野菜、果物は繊維質なので、歯面や舌表面を自然にきれいにしますが、一方で、炭水化物や加工食品は口のなかに停滞しやすいため虫歯を引き起こしやすいといわれています。

(4)時間

虫歯の原因細菌が利用する砂糖などを食べる機会の多さと、虫歯の原因細菌が歯面に付着している時間の長さの2つの要素が、その人の虫歯のなりやすさに影響を与えています。具体的にいうと、食事の回数(間食も含む)が多いほど、虫歯の原因細菌が働きやすい環境が長くなりますし、歯磨きが不十分で歯面にプラークがずっと付着していると細菌の栄養が豊富にあることになります。

歯磨き

(1)子どもが自分で歯磨き

歯磨きの意味が理解できるようになってきたら子ども用の歯ブラシを準備してみましょう。ただし、歯ブラシを与えた場合は、危険がないように必ず保護者が注意して見ていてあげてください。歯ブラシを加えたまま転んで、怪我をする場合もあるためです。3歳を過ぎた頃からは、子ども自身で歯磨きができるようになってきますが、まだ真似程度であり、しっかり磨けているわけではありません。保護者の仕上げ磨きで、磨き残し部分を含めて、しっかり磨いてあげましょう。

(2)仕上げ磨き

仕上げ磨きには、必ず仕上げ磨き用の歯ブラシを準備しましょう。そして、子どもを仰向けに寝かせ、保護者が上から覗き込むような体勢で磨くようにしましょう。歯ブラシで全体的に磨いたあとには、デンタルフロスで歯と歯の間のプラークも取り除きましょう。フッ素配合歯磨剤も使用すると、より虫歯予防の効果があるでしょう。仕上げ磨きは、子ども自身が上手に磨けるようになるまでは継続するようにしてください。個人差はありますが、できれば小学校中学年くらいまでは行うほうが好ましいでしょう。

定期的な歯科検診

定期検診では、虫歯がないかどうか、初期の虫歯はできていないか、お口のプラークの付着状態を確認します。また、おやつや飲み物についても問診し、必要に応じて食生活指導も行います。これらを定期的に行うことで、虫歯ができる前に予防したり、また虫歯ができたとしても初期のうちに治療をおこなうことができます。

シーラント

シーラントとは、虫歯になりやすい部分である、奥歯の溝や上の前歯の裏側の溝を、シーラントという材料で封鎖して、虫歯の発生を防ぐとともに、プラークが付着するのを抑制してお口の環境をよくしようとするものです。また、当院で使用しているシーラント剤は、フッ素を放出する性質があるので、フッ素による虫歯予防効果も期待できます。シーラントをする場合、お口を大きく開けてこちらの指示を聞ける必要があるため、低年齢や不協力の場合は、できるようになるまでは行わないこともあります。

☆シーラントを行う歯

乳歯・永久歯ともに、歯の硬さ・質が未熟である生え始めてから3年前後の歯に行います。生えたばかりの歯は、歯の結晶が未熟で特に虫歯になりやすいためです。乳歯は奥歯2本が適応です。永久歯は6歳臼歯、前から4番目・5番目の奥歯、12歳臼歯、上の前歯の裏側の深い溝(舌盲孔)、中心結節という突起の周囲に行います。この処置をするときには、歯を乾燥させて塗布するため、歯茎から完全に生えた歯に行います。また、必ず虫歯になっていない歯に行う必要があるので、着色があったり初期の虫歯で経過観察している歯には塗布することはできません。

☆シーラントをした後の定期検診の重要性

シーラントをしたあとは、必ず定期検診を受けシーラントの状態をチェックしてもらうようにしましょう。シーラントが欠けたりしてもそのまま放置していると、虫歯になる可能性があるため再度塗布します。また、シーラントをしていても、虫歯のリスクが高い状態だとシーラントをしていない部分から虫歯になります。シーラントは歯を削って詰めるものではないので永久的に効果を発揮するものではありません。あくまでも、生えたばかりの未熟な歯を虫歯から守るものであり、その期間が過ぎた後はしっかり歯磨きなどで予防する必要があります。

まとめ

今回は「子どもの虫歯を予防するためには?」と題して、キーワード5項目のうち既にご紹介しました2項目を除いた3項目についてお話ししてきました。
このキーワード5項目について、みなさんと歯科医院が一緒になって、ふだんの生活で上手に取り組めれば、確実にお子さんの虫歯予防につながると思います。
ぜひ、乳歯虫歯ゼロから始まり、最終的に「永久歯でも虫歯ゼロ」になるようがんばりましょう!
当院では、子どもの虫歯予防クラブ「つるぴかキッズ」もあります。これからもお子さんの虫歯予防にみなさんとご一緒に努めて参ります。

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