あと何回で治療が終わりますか(後編)〜なぜ歯科医院は予約制なのか〜

仙台市泉区 明石台歯科医院 歯の治療

みなさんこんにちは。前回のコラムは「あと何回で歯科治療が終わるのか」という身近な疑問について、そもそも「なぜ歯科治療は時間(回数)がかかるのか」という視点からお伝えしてきました。その続きの今回は、「なぜ歯科医院は予約制なのか」という内容をメインにお話していきます。

歯科医院はほとんどが予約制

みなさんは体の調子が悪くて病院を受診しようと思うとき、どういう行動をとるでしょうか。おそらく多くの人は、近くの病院のホームページなどを見て、開いている時間を調べ、自分の都合の良い時間に受診するのではないでしょうか。そして、もしかしたら混んでるかもしれないなという予想のもと、少し時間に余裕を持って受診する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、歯科医院を受診するときは予約をする方がほとんどだと思います。歯科医院は予約制をとっているところがほとんどなので、やむを得ず予約をしているのかもしれませんが、そもそもどうして歯科医院は予約制を取るのでしょうか。

予約制じゃないと困ること

では、歯科医院が予約制ではなく、一般の病院のように、受診した順番に治療を行うようになると何が起こるのでしょうか。
1.待ち時間がとても長くなる。
2.作った被せ物(詰め物)や入れ歯が入らない。
3.痛みなどの急性症状があってもみてもらえないことがある。
4.そもそも治療が受けられない。

上記の理由について一つ一つ見ていきましょう。

1.待ち時間がとても長くなる

そもそも歯科治療は外科処置が中心です。外科とは手術や処置によって疾患を治す医学の1分野です。歯科医院を受診して、お話だけをしてお薬をもらって治療が終わるというパターンは少ないと思います。ほとんどの場合が歯を削ったり、形を取ったり、歯石を除去したりと何かしらの処置を受けると思います。
処置は時間がかかります。患者さん1人あたりに20分から30分ほどの時間がかかることもよくあります。ですから、もし来院順に診察を行ったとして、患者さんが歯科医院に着いた時に既に沢山の患者さんが待っていたとすると、1時間以上待つ可能性も十分に考えられます。

2.作った被せ物(詰め物)や入れ歯が入らない

これには2つの意味があります。

1つ目:被せ物(詰め物)や入れ歯の納期が間に合わない

歯科治療で作る被せ物(詰め物)、入れ歯などを総称して、歯科技工物(以下、技工物:ぎこうぶつ)といいます。技工物は患者さんのお口の型をとって作った模型をもとに、歯科技工士や歯科医師が製作します。歯科の技工物はほぼ全てがオーダーメイドで作られるため、製作にもそれなりの日数を要します。ですから、技工物の完成日よりも患者さんが早く来院してしまうと、お口に入れることができません。

2つ目は:被せ物(詰め物)や入れ歯が合わなくなる

完全オーダーメードで作る技工物ですが、型をとった日からなるべく早いうちに装着するのが鉄則です。その理由は、時間が経つほど歯の位置やお口の状態が変化していくからです。
歯の位置や歯ぐきの形、顎の骨の状態は毎日変化しています。その変化量はごくわずかであり、日常生活ではほとんど気が付かないレベルです。しかし、そのわずか数ミクロンの変化が小さな小さな被せ物(詰め物)、入れ歯の適合を悪化させてしまうのです。ですから、技工物の完成日から大幅に遅れて患者さんが来院したとしても、それはそれでお口に入れることができないこともあるのです。

3.痛みなどの急性症状があってもすぐにみてもらえないことがある

歯やお口にまつわる症状は、痛みを伴うことが多いです。ですから、なるべく早くみてもらいたいというのが多くの患者さんの本音だと思います。予約制だと、急患であってもその日の予約が空いている時間に患者さんを誘導しますので、歯科医院に来院してから診察までの時間をできる限り短くすることが可能です。しかし、予約制でない場合は、混んでると痛みがあってもなかなか自分の番まで診察が回って来ない可能性があります。

4.そもそも治療が受けられない。

先ほどもお話ししたように歯科治療は外科処置が多いです。外科処置は内科的な治療に比べると、処置に先立って準備する器具や器材、薬剤が多くなりがちです。皆さんも歯科治療を受ける際に、歯科助手さんがたくさん器具を準備しているのを見たことがあるかと思います。
これらの器具器材は術者や患者さんを感染から守るために使用するたびに滅菌や殺菌処理を施しています。歯科医院には多くの器具器材があり、すぐには切らさないように準備していますが、中には使用頻度が少ないために、少数しか在庫のないものもあります。したがって、運悪くそうした処置が連続してしまうと、器具や器材の不足から治療が行えないこともあります。
ですから、予約制をとることで、そうしたミスが起きないように予約のタイミングを調整しているのです。

以上をまとめますと、予約制をとることで患者さん側は
1.待合室での待ち時間を短くできる。
2.ベストな状態で詰め物(被せ物)や入れ歯を装着できる。
3.痛みなどの急性症状がある場合にできるだけ最短で案内ができる。
4,診察時間が担保される(=混雑により診てもらえないことがない)。
というメリットが受けられるのです。
これらのメリットが大きいがゆえに、ほとんどの歯科医院は予約制を採用しているのです。

予約制のデメリット

予約制とはいえ、予約無しで来院した急患を全く診ないかといえば、そういうことではありません。緊急性の高い疾患の場合は、予約が埋まっていても診察しなければならない場合もあります。

また、急にお口の状態が変わったために、当初予定していた処置を変更することになり、結果として治療時間をオーバーすることもあります。

そういった場合は、予約時間通りに治療が進まず、次の患者さんを待たせてしまうこともあります。

予約は守りましょう

以上のようなデメリットもありますが、当院ではなるべく多くの患者さんに気持ちよく受診していただけるよう、予約制を採用しております。ご来院の際は、なるべく予めお電話にてご連絡をいただきますようお願い申し上げます。

また、当院では患者さん一人ひとりの治療に責任を持って診療時間を確保し、器具や器材を準備してお待ちしております。「行けなくなった」というご連絡なくキャンセルをされてしまうと、我々が損失を被るだけでなく、その時間帯に診察を受けたかった別な患者さんにも迷惑がかかります。キャンセルされた患者さんご自身も、診察が先へ延びたことで不利益を被る可能性があります。従いまして、ご連絡のないキャンセルはされませんように、くれぐれもお願い申し上げます。都合が悪くなった場合は、お手数ですが事前にご連絡をお願いいたします。

2回にわたってお伝えしてきた「あと何回で治療が終わりますか?」という内容でしたが、歯科治療に時間がかかる理由や歯科医院が予約制をとっている理由がお分かりいただけましたでしょうか。次回のコラムもご愛読いただけますと幸いです。

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