入れ歯安定剤を使ってました?

仙台市 泉区 明石台歯科医院 入れ歯

 久しぶりに来院された患者さんが「入れ歯がゆるくて、安定剤を使用していました」と教えてくれました。「コマーシャルで宣伝してますよね!だから使っていました」あの小○製薬の宣伝ですね。

「あ~あ、入れ歯安定剤は絶対に使用しないでくださいね!」と伝えていたにも関わらず、使用されていました。

 当院では、「入れ歯安定剤は基本的に使用しないでください。特に新しい入れ歯には絶対使用しないでください。もし、調子が悪ければ調整にいらしてください」と患者さんに伝えています。使用することによるデメリットの方が多いからです。

 ではなぜ、当院では入れ歯安定剤を使用しないでくださいとしているのか、今回はその理由についてお話しします。

入れ歯安定剤とは

 入れ歯を使用したことのある方は、誰でも入れ歯の使用に際し、違和感がある、異物感がある、痛い、当たる、うまく噛めないなどの不調や不具合などを経験していると思います。入れ歯を自分の体の一部として使用するまでには、それなりのリハビリや慣れ、そして時間が必要です。新しい入れ歯だからといってすぐになんでも噛めるわけではありません。やはりそこには調整を繰り返して、少しづつ不具合を解消していき、最終的には自分の体の一部にするまでの努力も必要となります。不幸にも身体の一部を失った時に、義手や義足を使ってそれに代用するならば、それなりのリハビリ、トレーニングが必要なのと同じです。

 それでも何度入れ歯の調整をしても改善しない、痛い、当たる、緩いなどが続く時に、「そうだ、あの宣伝の◯リグリップを使ってみよう」と考えるのではないでしょうか?

 入れ歯安定剤は、ドラッグストアやコンビニ、スーパーなどで手軽に購入でき、簡単に使用できます。使用することで、前述の症状が一時的に緩和されるため、そのままずっと毎日使用されている方も多くいらっしゃると思います。

 しかしながら、これを長期に使用することでますます入れ歯の不具合を助長させてしまい、結果として安定剤を使用する前より、顎や歯ぐきの状況が悪化してしまうことになることをご存知でしょうか。

入れ歯安定剤を使用しない

 結論から言いますと、入れ歯安定剤については、「絶対に使用しないでください!」というのが当院のお答えです。なぜなのか?これから解説していきます。

入れ歯安定剤を使用しない理由は、

①安定剤を使い続けることで、歯ぐきや顎の骨がますます痩せていく

 安定剤をつける量がその日、その時により、多かったり少なかったりして微妙に異なるため、咬んだ時のかみ合わせが微妙に変化します。このかみ合わせのバランスがくずれることで、入れ歯を介して歯ぐきや顎の骨が受ける圧力も、強く力がかかる所がその都度変わり、結果歯ぐきや顎の骨がこのかむ力の圧力を受けて吸収し、痩せていきます。そうなるとますます入れ歯が合わなくなり、安定剤を使い続けることになります。入れ歯安定剤には、粘着力を補う「クリープ(粉末)タイプ」と、隙間を埋める「クッションタイプ」がありますが、クッションタイプの安定剤に多いパターンです。

 そうなると、新たに入れ歯を作ろうとすると、安定剤を使用する前より、歯ぐきや顎の骨の条件の悪い状態で作らざるを得ない状況になります。

②不潔になりやすい

 安定剤はとても粘着性が高いため、入れ歯を外しても歯ぐきに安定剤の一部がくっついていたりして、そこに細菌が付着しやすい環境となります。その結果、入れ歯の内面にカンジタ菌などの細菌の繁殖を促して、粘膜が赤くなり炎症を起こしやすくなります。

③その他

 安定剤に含まれる化学物質などにより、使いすぎるとアレルギー症状を起こす懸念があります。

入れ歯安定剤の使用について

 入れ歯安定剤についてまとめると

①応急処置としての使用

 これまで入れ歯安定剤を継続的に使用するデメリットをお伝えしてきました。ただ、一時的に使用することもあります。例えば

・どうしても様々な事情で歯科医院を受診することができない場合

・どうしても会食などの機会があり、すぐに歯科医院を受診できず、一時的に痛みや緩さを緩和したい時

など、あくまでも応急的、一時的に使用する場合のみです。

②入れ歯安定剤の使用については、歯科医師に相談する

 入れ歯安定剤を使用するのであれば、きちんと歯科医師の指導や助言を受けて、正しい使い方で使用する必要があります。

より良い入れ歯との付き合い方

 そもそも入れ歯安定剤を使用したくなるのは、まだ、入れ歯がきちんと自分の体に馴染んでいないからだと思います。地道に調整を続けていけば、きちんと使えるようになることを数多く経験しております。やはりすぐに諦めてしまい、勝手に入れ歯を使わなくなったり、調整に来院するのが面倒で、安易に安定剤に頼ろうとするのではないでしょうか?

そうならないためにもそこには入れ歯との良い付き合い方があると思います。

最後に、入れ歯との良い付き合い方についてお話しします。

1、入れ歯を体に馴染ませるために調整が必要である

 入れ歯は新しく作ったからすぐになんでもかめるということではありません。

まず、入れ歯をお口の中に入れておくことができるか、食べることができるか、お話しすることができるか、取り外しがきちんとできるか、いろいろな点から入れ歯が本当に使用できるか確かめる時間が必要です。そのために何度か不具合を調整して、少しづつ体に馴染ませていきます。おおよそ1ヶ月間は調整が必要だと思います。

2、定期検診が必要

 入れ歯も定期的に検診が必要です。使用していくうちにかみ合わせは変化します。定期的にかみ合わせの調整をすることで、いつも安定してかむことができます。

また、歯にかけるバネが緩んだりしますので、締め直して調整します。

病気で入院したり、体調を崩したりすると、顎が痩せたりして合わなくなることが多いので、入れ歯の内面やかみ合わせを調整します。

3、きちんと作り、その後もきちんと調整してくれるドクターが必要

 一言で言いますと保険の入れ歯は採算に合わない治療です。一人一人オーダーメイドで作るにも関わらず、現行の保険制度では、入れ歯に必要な材料も保険で十分認められていません。保険で良い入れ歯を作ろうとしても保険制度の中では限界があります。そのため、保険の入れ歯は作らない歯医者も存在します。また、作っただけで、調整をしない歯医者も存在します。

 ですが当院は、保険の入れ歯であってもきちんと作ります。そして、入れた後の調整もきちんと行い、使用できるようになるまでアフターフォローしております。

 また、入れ歯に慣れた方で、もっと快適に入れ歯を使用したい方には、もっと良い材料を使用した自費の入れ歯もご用意しております。

4、不具合が続く時は歯科医院を受診する

 様子を見ていても、不具合が続くときは調整にいらしていただいた方が早く改善されます。入れ歯を快適に使用するためには、調整が必要だという認識を持っていただければと思います。

まとめ

 今回は、入れ歯安定剤についてご紹介しました。

 入れ歯安定剤を継続して使い続けることのデメリットについてご理解いただけましたでしょうか?

 どうしても使用しなければならない場合にも、あくまでも応急処置として使用し、それを使用しないとダメであれば、そろそろ歯科医院で入れ歯の調整をしてもらうサインだと認識していただき、歯科医院を受診するきっかけにしてください。

 当院では、一人一人に合った入れ歯を作るために、お口の状態に合わせて、様々なご提案をさせていただいております。お気軽にご相談ください。

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