入れ歯のフィット感に個人差が大きいのはどうしてか

仙台市泉区 明石台歯科医院 入れ歯 フィット

入れ歯をお使いの方は、「あの人は入れ歯で何でも噛めるのに、私は痛くて入れ歯であんまりいい思いをしたことがない。」とか、反対に「私は入れ歯で特にそれほど不自由していないけど、友人の〇〇さんはいつも歯科医院で入れ歯の調整を繰り返している。」という経験はありませんか。入れ歯というと、よく噛めない、カタつく、隙間に食べかすが入る、痛い、といったマイナスイメージが先行するかもしれませんが、入れ歯がピッタリ合って、それほど不自由を感じていない方も少なくありません。では、どうしてそのような違いが生じるのでしょうか。今回のブログは、そんな「入れ歯のフィット感に個人差が大きいのはどうしてか」という点について解説していきたいと思います。

お口の状態は人それぞれ

一番大きな要因が、お口の中の状態が人それぞれ大きく違うということです。入れ歯が必要な方は歯を1本以上失っているわけですが、まずその本数が人によって異なります。失った歯の場所も異なります。また、残っている歯の状態も異なります。例えば、虫歯のない健康な歯なのか、詰め物や被せものをしている歯なのかといったことです。その他にもいろいろな条件がありますので、以下にまとめて列挙します。

個人で違うお口の状態

  • 失った歯の本数
  • 失った歯の場所
  • 残っている歯の状態(治療済み or 未治療)
  • 歯周病の有無と程度
  • 歯がない部分の歯ぐきの状態
  • 歯がない部分の顎の骨の状態
  • かみ合わせの状態
  • 顎の関節の状態
  • 唾液の状態(多いor少ない、サラサラorネバネバなど)
  • 癖の有無(歯ぎしり、噛みしめ癖など)
  • 嗜好性食品の違い

また、お口の状態だけでなく、全身的な状態も人それぞれです。お口も全身の一部なので、全身的な状態とお口の状態は密接に関連しています。例えば、糖尿病にかかっている方は歯周病が悪化しやすいので、残っている歯も歯周病でグラグラしやすくなり、入れ歯のバネをかけにくかったりします。

個人で違う全身的な状態

  • 全身的な病気の有無
  • 普段飲んでいるお薬の有無
  • 生活習慣
  • アレルギーの有無
  • 嗜好品の有無(酒、タバコなど)

以上のように、治療に影響する因子が非常に多数存在するため、同一条件がほぼ存在しないといっても過言ではありません。我々歯科医師は、これらの違いを見極め、その人それぞれに最適な入れ歯を作らなくてはなりません。

お口の感覚は人それぞれ

保険適用の入れ歯は、歯ぐきに相当する床(しょう)と呼ばれる部分がレジンでできているため、一般的にはレジン床義歯と呼ばれます。レジンとはプラスチック製の樹脂のことです。レジンは耐久性に劣るため、どうしても一定の厚みをもたせる必要があり、その厚みが装着時の異物感に繋がります。また、入れ歯の金属のバネ(クラスプ)自体に異物感を感じることもあります。例えば、歯科医院で型取りをするときに、なんともない人もいれば、オエッとなってしまう方もいますよね。こうしたお口の感覚の違いから生じる、異物感の許容度が人によって異なります。そのため、同じ設計の入れ歯でも、違和感の感じ方に違いが出ることがあり、その場合、当然入れ歯のフィット感も違ってくるわけです。逆に、理想的な設計だと異物感が出てしまうために、やむを得ず妥協的な設計にせざるを得ず、それが入れ歯のフィット感を低下させることもあります。

入れ歯の設計はフルオーダーメイド

以上の理由から、入れ歯の設計は、保険適用と保険適用外(自費)に関係なく全て手作業で作られるフルオーダーメイドになっています。似たような設計であっても、1つとして同じ入れ歯はありません。健康保険が適用される場合は安価に製作できるのでその実感は薄いかもしれませんが、実は歯科医師と歯科技工士の技術の結晶なのです。

お口の状態は変化する

さて、入れ歯を作る段階での「入れ歯のフィット感」に影響を与える因子を述べてきましたが、入れ歯を作った後にもフィット感は変化します。それはお口の状態は常に一定ではないからです。入れ歯を使い始めると、床が接する歯ぐきの性質(厚みや硬さ)が変化したり、バネ(クラスプ)をかけている歯の動揺が起こったりします。また、虫歯や歯周病が原因で新たに詰め物や被せものの治療をしたり、不幸にも他の歯を抜かなければならないこともあります。そうしたかみ合わせの変化が起こると、入れ歯の適合が変化し、フィット感の低下につながることがあります。

入れ歯の状態も変化する

変化はご自身のお口の中だけではありません。入れ歯そのものも時間とともに変化します。人工歯はすり減りますし、歯ぐきにあたる床(しょう)も、特にレジンの場合は性質が劣化していき、ヒビが入ったり、最悪の場合割れることもあります。クラスプも金属の変形により緩くなります。

入れ歯のフィット感を低下させないために

診療科目のページにも載せていますが、入れ歯は歯科医院でただ作ってもらえば思い通りに噛めるというものではありません。我々歯科医師は、患者さん一人ひとりのお口に合った入れ歯を作ることを心がけていますが、前述の「お口の感覚」の項で述べたように、必ずしも理想的な設計がその人の感覚にマッチすることばかりではありません。ですから、入れ歯を作ったら、まずは積極的に使用して自分の体の一部としてしっかり使えるように“リハビリ”する必要があります。そして歯科医院で入れ歯の調整を続けます。「調整したら使用する」を繰り返しながら、徐々に自分の身体に合うようになっていきます。
また、「お口の状態は変化します」ので、たとえ入れ歯の調子が良くても定期的に検診を受けるようにしましょう。自分では気づかなくても、新たな治療や入れ歯の調整が必要なこともあります。
そして、日々の入れ歯のお手入れも怠らないでください。入れ歯を永く快適に使用していくためには、使用後の洗浄や適切な管理も重要です。

以上、入れ歯のフィット感に個人差が大きい理由を説明してきましたが、いかがだったでしょうか。余談ではありますが、保険適用の入れ歯は設計の自由度が低いので、入れ歯の設計や材質そのものに不満をお持ちの方は、思い切って保険適用外(自費)の入れ歯を作ってみることも一つの手段です。

入れ歯でお悩みの際は、まずは一度ご相談にいらしていただければ幸いです。

仙台市泉区 明石台歯科医院 入れ歯 フィット
最新情報をチェックしよう!