周術期の口腔管理とは?(Part2)

仙台市泉区 明石台歯科医院 周術期 口腔管理

今回は、前回のコラムPartⅠの「手術に伴う周術期口腔機能管理」に引き続き、「化学療法(抗がん剤)や放射線治療中の周術期口腔機能管理」についてご紹介致します。

化学療法や放射線治療中の周術期口腔機能管理

がん治療の場合、手術だけではなく化学療法(抗がん剤)や放射線治療を併用する場合があります。その場合も周術期として歯科で口腔機能管理を行っていきます。
なぜ化学療法や放射線治療をする時に口腔ケアが大切かというと、これらの治療中は口の中やその周囲に副作用が出ることが多いからです。例えば、口内炎、歯肉炎、口腔乾燥、味覚障害、知覚過敏のような症状です。適切な口腔ケアに加えて、うがい薬、軟膏を上手に使うことで、そのような副作用を和らげることができます。

①問診

事前にエックス線写真診査を行い虫歯や歯周病による炎症がないかを全体的に確認します。そして、患者さんに化学療法や放射線治療中の口腔ケアの重要性について理解していただきます。

②口腔内診査

虫歯や歯周病の検査を行います。治療の必要な虫歯や炎症部位がある場合で、化学療法(または放射線治療)開始まで1ヶ月以上期間がある時はかかりつけ歯科医院などで治療をしてもらい、それだけの期間がない時には先に化学療法(放射線治療)を開始し、症状がでたらその都度対応していくことになります。

③化学療法(放射線治療)中の口腔ケア

化学療法(放射線治療)の日程に合わせて、歯科衛生士による口腔ケアを行います。また、化学療法(放射線治療)による副作用を診察していきます。

口内炎

口内炎がひどい場合には、軟膏を口唇や口の中に塗布してもらいます。さらに、うがい薬でこまめにうがいをします。口内炎がひどすぎて痛みが強く食事が摂れないこともありますが、その場合には麻酔薬入りのうがい薬で食事前にうがいし、食事を摂る方法もあります。

唇の乾燥や口の中の乾燥

軟膏やワセリンを塗布したり、こまめにうがい薬でうがいしてもらいます。この際、市販のうがい薬にはアルコール入りのものがあり、これを使用すると逆に口腔乾燥が生じやすくなるのでアルコールが入ってないものを使用します。また、マスクをして常に保湿されるようにしてもらいます。

味覚障害

味覚障害があると、食欲が減退してしまいます。刺激物は避けて、食べやすいものを食べてもらいます。食事の形態を工夫することで食べやすくなるので、そのような情報もお伝えします。

口の中の粘膜の痛み、粘膜や舌が白くなる症状

このような症状がある場合、カンジダ菌という菌による感染症の可能性があります。カンジダ菌は、常在菌といって普段から健康な人の口の中に存在する菌で特に悪いことは起こらないのですが、化学療法などで免疫不全の状態になると、その菌数が異常に増加してカンジダ症という感染症になってしまいます。カンジダ症が疑われる場合は、細菌検査を行います。そして検査結果によりカンジダ菌が検出されたら、カンジダ症の治療を行い、併せて口腔清掃状態も改善するよう指導を行います。

まとめ

周術期口腔機能管理について、今回はがん治療時の口腔機能管理についてお話しました。今回の場合は、化学療法や放射線療法を行うことに伴う各種の副作用症状についての対処法が中心でした。このような治療時にはどうしても免疫力の低下が起こると思われます。お口の中には数多くの細菌が存在するため、健康な時にはある程度免疫力で抑えていても、免疫力の低下により細菌が活動し、お口の中に色々な症状を発現させます。普段からお口の健康管理を意識し、定期的に検診を続けることで、良いお口の状況を保っていることが望ましいでしょう。

2回に渡り、周術期の口腔機能管理についてご紹介してきました。まとめますと、周術期口腔機能管理は、入院前後はかかりつけ歯科医院で、入院中はその医療機関に併設される歯科口腔外科等で行うことが多いです。当院は各医療機関と連携を取りながら、この周術期にうまく口腔機能管理を行い、術後の健康回復が円滑に進みますよう対応いたします。当院をかかりつけ歯科医院としていただき、周術期口腔機能管理に携わることで、皆様の健康をサポートして参りたいと思います。

仙台市泉区 明石台歯科医院 周術期 口腔管理
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