歯周病とは③~歯周病ってどんな治療をするの?~

仙台市泉区の歯医者 明石台歯科医院 歯周病とは?

歯周病は誰もがかかりうる非常に身近な疾患です。前回までのコラムで、歯周病の病態やその検査法についてお伝えしてきました。今回のコラムは、歯周病の治療についてお伝えしていきます。本コラムが読者の皆様の歯周病に対する理解を深めるきっかけになれば幸いです。

歯周病の治療

1・ブラッシング指導

歯周病治療で最も重要なのが「正しいブラッシングを行うこと」です。以前のコラムでも紹介しましたが、歯周病の最大の原因は歯垢(プラーク)なので、いかに普段のブラッシングで磨き残しを減らせるかが、お口の中の環境を清潔に保つ秘訣になります。また、歯ぐきを歯ブラシで適切にマッサージして血行を良くすることも歯周病の改善につながります。

当院では、お口の歯垢を赤く染め出してどこに磨き残しがあるのかを一緒に確認し、一人ひとりに合った磨き方をお伝えします。また、磨き方だけではなく、歯ブラシの種類や歯間ブラシ、フロス(糸ようじ)などの補助用具、歯みがき粉、マウスウォッシュの使い方もご紹介致します。

2・歯垢・歯石除去

正しいブラッシングを行っても、歯の表面に固く付着した歯石はさすがに除去できません。そこで、スケーラーと呼ばれる専用の器具で歯石を除去していきます。以前のコラム『なぜ歯科医院では歯石除去と歯磨き指導を勧められるのか?(2021.10.5 掲載)』でお伝えしましたが、歯石は、付着する場所が歯ぐきの外側か内側なのかで病原性が異なります。基本的には外側の白い歯石を除去し、正しいブラッシングを行えるようになってから、内側の黒い歯石を除去していきます。
歯石を除去した後は、再び歯垢や歯石が付着しにくいようにするために、ブラシなどを使って歯の表面をツルツルに磨きます。

3・抗生物質の使用

歯ぐきに強い炎症が生じている場合は、抗生物質を使用します。基本的には抗生物質を単独で使用することは少なく、ブラッシング指導や歯垢・歯石除去と組み合わせて使用します。歯ぐきに直接注入する軟膏タイプや飲み薬のタイプがあります。

4・歯垢が付きにくい環境づくり

具体的には、歯磨きがしにくい形をした詰め物・被せ物のやり直し、虫歯の治療、歯が欠けてくぼんだ部分を詰め物で形態修正する、といった治療が当てはまります。お口の環境を、より歯磨きがしやすく、歯垢が付きにくい環境に整えます。口呼吸の改善もこれに当てはまります。

5・かみ合わせの調整

歯垢による細菌感染に加えて、かみ合わせの不良によって特定の歯に強い力がかかり続けると、歯周病が進行します。ブラッシング指導や歯垢・歯石の除去を行っても歯周病が改善せず、歯がグラグラしている場合は、歯を削ってかみ合わせの調整を行うことがあります。

6・接着剤による仮固定

かみ合わせの調整を行っても歯がグラグラする場合は、歯周病の状態が改善するまで、接着剤で歯の仮固定を行うことがあります。歯周病が改善すれば被せものなどによる本固定への移行を検討します。

7・残せない歯の抜歯

治療を尽くしても、歯周病の状態が改善せず、かえって歯を残しておくといつまでも歯周病が治らない場合があります。この場合は、残念ですが抜歯を行います。抜歯を行うと、お口の環境は大きく変わってしまうため、慎重に検討します。

8・歯ぎしり治療

日中の無意識に行こなっている歯ぎしりも、歯周病を悪化させる因子の一つです。意識的に歯ぎしりを控えたり、可能な限り原因と考えられる因子(かみ合わせの不良、ストレスなど)の除去に努めます。また、寝ている間の歯ぎしりが歯周病を悪化させることがあります。就寝中の歯ぎしりが疑われる場合は、歯を保護するためのマウスピースを装着してもらいます。

ちなみに歯ぎしりには以下の3タイプがあります。
①上下の歯を無意識にこすり合わせる(グラインディング)
②食いしばり(クレンチング)
③連続的にカチカチとかみ合わせる(タッピング)

9・禁煙指導

「喫煙は歯周病の最大の環境リスクファクターである」とされ、歯周病を悪化させることは以前のコラムでもご紹介しました。喫煙は「ニコチン依存症(薬物依存症の一つ)」という精神疾患として認識されており、個人の努力で禁煙を達成することは難しい側面があります。禁煙治療は条件を満たせば保険適応になりますので、当院では希望者に禁煙外来を有する診療所への紹介も行っております。お気軽にご相談ください。

10・矯正治療

歯並びの不良によってブラッシングしにくい部分があったり、かみ合わせの不良が起こることがあります。被せものの治療などで改善を図ることもありますが、できるだけ天然の歯は削りたくないものです。その場合は、矯正治療によって歯並びそのものを改善することがあります。しかし、歯周病が進行している場合や、正しいブラッシングが行えていない状態で行うと、かえって歯周組織の破壊を促進してしまうこともあるので、いったん歯周病が改善してから検討します。

11・歯周外科治療

  1. 上記の1~9を行っても深い歯周ポケットが残っている場合
  2. 歯や顎の骨、歯ぐきの形態異常により歯周病の再発が懸念される場合
  3. もともと歯や歯ぐきの見た目が悪かったり、被せ物治療を行いにくい形をしている場合

    このような場合、歯ぐきの手術を検討します。
    手術と言っても一般の局所麻酔で行うもので、入院の必要はありません。しかし、以下の場合は手術が行なえません。
  • ブラッシングが正しくできておらずお口が不潔な人
  • 全身状態が悪く、手術に適さない人
  • 喫煙している人

    この場合は、1~9の治療を継続します。

    実際の治療では、一人の患者さんにこれら全てを行うわけではなく、一人ひとりの歯周病の状態に合わせて治療法を選択します。また、治療の進行状況に合わせて、検査やブラシング指導もその都度行います。

歯周病の治療は、詰め物・被せ物やブリッジ、入れ歯などの治療と比較して、最初のうちは治療の効果を実感しにくく、重症の患者さんほど治療期間が長くなる傾向にあります。何度もブラッシング指導を受けているうちに、飽きてしまうこともあるかもしれません。しかし、歯周病治療は歯科治療の基本です。歯ぐきの状態が良くないところに、どんなに良い被せ物や入れ歯を作っても長持ちすることはありません。お口の状態を健康に保ちたい人ほど、特に自費の治療を受けたい人ほど歯周病治療はしっかり行う必要があります。引き続き歯周病に関するコラムを連載しますので、正しい知識を蓄えていきましょう。

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