歯周病とは①~そもそも歯周病ってどんな病気?~

仙台市 泉区 明石台歯科医院 歯周病

歯周病ってどんな病気でしょうか。そもそも虫歯と歯周病は違うことをご存知でしょうか。ある調査では、歯周病は30歳代の90%以上の方が罹患していることが分かっています。今回のコラムはそんな歯周病について、何回かに分けて、より詳しく解説していきたいと思います。

歯周病になると歯が抜ける

あなたはこんな症状はありませんか。

  • 歯ぐきが赤く腫れている
  • 歯ぐきから出血する
  • 歯ぐきから膿が出る
  • 口の中がネバネバする
  • 歯がグラグラする
  • 歯ぐきがかゆい
  • 口臭が気になる
  • 歯が浮いたような感じがする
  • 歯ぐきが下がって歯が伸びたように見える

いずれも歯周病の症状ですが、どうしてこのような症状が起こるのでしょうか。
そもそも歯周病は、お口の中に細菌(歯周病菌)が感染することによって起こります。歯周病菌が歯を支える歯ぐきや顎の骨(歯周組織)を破壊することにより、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。よく、虫歯との違いを聞かれる患者さんがいらっしゃいますが、虫歯もお口の中の細菌(虫歯菌)の感染によって起こる疾患です。虫歯も歯周病も、どちらも歯垢等を細菌が分解する際に発生する副産物が原因ですが、虫歯菌の場合は歯の表面を溶かす酸を産生するので、歯そのものが溶けます。それに対して、歯周病菌は歯周組織を破壊する毒素を産生するので、歯ぐきや顎の骨に炎症が起こり、最終的には歯を支える顎の骨が完全に溶かされてしまい、歯が抜けます。

 虫歯で歯を抜いたことのある患者さんもいらっしゃるでしょうが、多分その場合は、歯が溶けて大きな穴が空いていたりすると思います。ですが、歯周病で歯が抜ける場合は、全く虫歯のない、ピカピカの健康な歯が抜け落ちてしまうことがあるのです。あるいは、自然に抜け落ちていなくても、歯周病で歯がひどくグラグラしている場合、抜かなければいけないこともあります。

全身に影響する歯周病

では、どうして歯周病が進行した歯を抜く必要があるのでしょうか。それには大きく3つの理由があります。1つずつ解説していきます。

1・歯周病の歯がグラグラして、正常な機能を営めないから。

 重度の歯周病になってしまった歯は,周囲に歯を支える顎の骨がほとんど残っていないために,グラグラして力をかけることができません。さらに、歯周病による炎症により、力をかけると痛みを伴います。ですので、食事の際に正常な咀嚼運動を行うことができず、食事に支障が生じます。そうすると十分な栄養が取れませんし、お口の筋肉も萎縮してしまい、お口の機能が低下します。そうなる前に抜歯を行い、ブリッジや入れ歯によりお口の本来の機能を回復させる必要があります。

2・歯周病菌が他の歯に感染するから。

お口の中は1つの閉鎖環境です。ある歯に感染した歯周病菌は、唾液などを介して他の歯にも感染します。さらに、重度の歯周病に罹患した歯の周りは顎の骨が溶けていきますが、それによって隣の歯を支える骨まで溶かして、歯周病を拡大させてしまいます。歯周病の拡大を防ぐためにも、重度の歯周病に罹患した歯は抜歯が望ましい場合があります。

3・歯周病菌が全身に感染して悪影響を及ぼすから

 歯周病が怖いのは、単に歯ぐきが腫れたり、歯が抜けたり、口臭がするといった局所的な問題にとどまらないからです。歯周病菌や歯周病に罹患したことによって生じた炎症物質は、唾液と一緒に飲み込むことによって、あるいは炎症を起こした歯ぐきの血管から血流に乗って、全身に広がり悪影響を及ぼします。以下に歯周病と関わりのある疾患を挙げます。

  1. 動脈硬化(心筋梗塞、脳梗塞)
  2. 感染性心内膜炎
  3. 糖尿病
  4. 早産・低出生体重児出産
  5. 肥満(メタボリックシンドローム)
  6. 誤嚥性肺炎
  7. 骨粗鬆症

(これらの疾病と歯周病の関わりは、診療案内の「歯周病治療」のページにも記したのでご覧ください)

歯垢は細菌の塊

 歯周病になってしまう一番の原因はブラッシング時の磨き残しです。磨き残しというと、食事の際の食べかすが歯や歯ぐきに残っているというイメージがあるかもしれませんが、厳密には違います。実際に歯周病の原因となる磨き残しは、歯垢(プラーク)の磨き残しです。

 歯垢はお口の中にいる細菌が増殖してできた塊です。歯の表面に唾液などを介して付着した細菌は最初は少なくても、ブラッシングで取り切れずに残っていると、次第に細胞分裂によって増殖していきます。そして、単純に増殖するだけでなく、歯周病菌などの有害な細菌をどんどん引き寄せ、粘着性のある物質を分泌して歯垢全体を覆うバリアを形成します。これを専門用語でバイオフィルムといいます。バイオフィルムの内部で、歯垢はその病原性をどんどん高め、歯周組織を破壊する毒素を出していきます。

 歯垢は最終的には石灰化して歯石となります。以前のコラム「なぜ歯科医院では歯石除去と歯磨き指導を勧められるのか?(2021.10.5 掲載)」でもお伝えしましたが、歯石自体は体に直接害を及ぼすものではありません。歯石の表面はザラザラしているので、そこに新たな歯垢が付いてしまうのです。歯石の表面に付着した歯垢も、新たなバイオフィルムを形成して歯周組織に害を及ぼします。そして、そのプラークもいずれは歯石となっていき、この繰り返しで歯石が大きくなっていき、次第に除去が困難になっていきます。

 ですから、歯石がそこまで大きく成長する前の段階、すなわち歯垢が付着したらなるべく早いうちにきれいに除去するのが大切なのです。すなわち、いちばん大切なのは、自分自身で行う毎日のブラッシングなのです。ですから、当院も含めて歯科医院では何回もブラッシング指導を行うのです。

今回のコラムはここまでとなります。

歯周病ってテレビCMや広告などでよく目にするとは思いますが、実はそれだけ身近で怖い病気なのです。歯周病に対する正しい知識を身につけて、いつまでも自分の歯で食事ができるようにしたいものですね。

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