かかりつけ歯医者を持っていますか?ー将来の国民皆歯科健診に備えて

仙台市泉区の歯医者 明石台歯科医院 かかりつけ歯医者

少し前のニュースですが、「国民皆歯科健診」の報道がありました。国の「骨太方針2022」に、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討が盛り込まれました。政府は年々増える医療保険の予算の高騰を抑制するために、歯科疾患と全身の健康との結びつきを鑑み、国民すべてに歯科健診を行う制度を作ることを具体的に検討することを決めたのです。 歯科の病気が様々な全身の疾患に関係がある事は、近年広く認められるようになってきました。そこで、歯科健診を行い、国民のお口の健康度を調べることで、口腔(こうくう)の疾患の予防をすることが、将来の全身の病気の発生を予防し、さらに健康寿命を延伸するとの観点から歯科健診の導入が検討されています。

さて、皆さんは歯科検診を定期的に受けていますか?

そこで、今回は「歯科健診」についてお話ししてみたいと思います。(以前の歯のコラム「歯医者の定期検診って必要ですか?」も参照してください。「健診」と「検診」の違いについても解説しています。)

敷居の高い歯科受診?

国民のどのくらいが定期的に歯科検診をしていると思いますか? ある調査によると、国民のほぼ1割程度しか歯科検診を受けていない実態があります。そもそも歯科治療は怖いというイメージがありますので、積極的に歯科検診を受けようとは思わないでしょう。悪くなってから、渋々受診する方が圧倒的に多いです。しかしながら以前のコラムにも書きましたが、定期的に検診をしている人の方がトータルの医療費が安いというデータもあります。敷居の高い歯科受診を、いかに敷居を低くして通いやすい場所とするかは、早くから「かかりつけ歯医者」を持つことだと思います。そのためにも何も症状がない時に一度検診を受けてみる。もし虫歯などがなければ引き続き予防に努めれば良い。万が一何かあっても症状がないので、最小の治療で対応できると考えます。そのようにして、歯医者との関わりを持つきっかけを作り、治療後は検診を定期的に行い、予防に努めるようにすることが何より身体の健康に取って大事なことではないでしょうか。

歯科健診はなぜ必要?

これまで国の保険診療は、かかってしまった病気を治療して治すことに重点を置いてきました。つまり、基本的には病気にならないと健康保険は使えません。しかしながら、病気になってからの医療はお金がかかります。また、高齢化により医療費が年々増加する一方で、少子化により医療保険制度を支える世代の人口が減少しているので、このままだと保険制度を支える財源がなくなってしまいます。そうなっては大変なので、年々増え続ける医療費に歯止めを掛けるための対策の一つとして歯科健診を導入し、早期の口腔ケアに着手しようとしているのだと思います。

お口も年齢とともに変化していきます。体が老化するように歯もすり減ったり、形を変えていきます。そのため若い時には気づかないですが、噛み合わせが変化することでいろいろな症状を呈してきます。例えば以前は虫歯がなくてバリバリ何でも食べられたのに、歳とともに固いものが噛めなくなる、もしくは奥歯が動いてきて噛むと痛いのでよく噛めない、新たに歯の根元に虫歯ができる、歯が欠ける、歯がしみる、など様々なことが起こるようになります。そのため、年1回の人間ドックの健診同様、歯の検診も定期的に受けることにより、変化するお口に適切な対応をしていく必要があると思います。

また最近、歯周病細菌がいろいろな全身の病気に関与することがわかってきました。日本人の30歳以上で約7割、40歳以上で約8割が歯周病にかかっているとされます。また、歯を失う原因のトップが実は歯周病です。この歯周病が誤嚥性肺炎、動脈硬化、心臓病、脳梗塞、脳卒中、糖尿病、早産、関節リウマチ、アルツハイマー型認知症、骨粗鬆症、新型コロナウイルスなど、多くの病気に関係すると言われています。これは歯周病を起こす歯周病細菌が、歯ぐきからの出血に乗じて血管から侵入し全身に回ることや、歯周病細菌の出す毒素で細胞が損傷することにより、これらの病気の発生に関与していると考えられています。この歯周病のリスクを回避するためにも、定期検診が必要となるのです。

歯科健診の内容は?

まだ、具体的な健診内容につきましては、何ら明らかにされていませんが、現在市町村等で行われている歯科健診を参考に話してみます。

◉問診により、全身の病気の有無、お口の中で気になる所の有無、かかりつけ歯医者の有無、喫煙、お口の清掃状態の確認など
◉虫歯の有無、治療済みの歯の状況、歯を失った所が適切に処置されているか
◉歯ぐきからの出血、歯周ポケットの状況、歯石の沈着
◉歯並び、噛み合わせ、顎関節、粘膜等の異常
◉入れ歯の状況

などの検査を行います。

このような問診や検査を行い、改善点を見い出し、指導します。治療が必要なら受診を促します。あくまでも現在のお口の状況を確認してもらうための健診ですので、お気軽に受けていただきたいと思います。健診費用につきましても、無料のものもあれば若干の一部費用がかかることがあります。

歯科検診するならー今でしょ!

近年の新型コロナウイルスの感染予防のため、マスクをする生活になりました。マスクは飛沫感染等を予防する効果はありますが、一方で、息苦しさから知らぬ間に口呼吸が増え、お口の中の環境が悪化する懸念もあります。また、コロナ禍で歯医者に来ることも控えていたと思います。でも、歯科医院でクラスターが発生したというニュースは全国的にもほとんどありません。やはり、何かお口のことで気になることがあるのでしたら、「今でしょ!検診に来院するのは!」との思いです。

受診のきっかけは、先程のような市町村で行う歯科健診でもよいですし、よい歯の日(4月18日)、歯と口の健康週間(6月4日~10日)、敬老の日、いい歯の日(11月8日)、ご自身の誕生日などをきっかけとしてもよいでしょう。

当院では、治療後3~4か月ごとの検診をお勧めしております。歯石などの沈着は3か月も経つと再付着してくるためです。入れ歯の方も同様に検診をお勧めしております。

しばらく検診していない方は、ぜひ一度受診されてみてはいかがですか?

まとめ

現在、歯科健診が義務付けられているのは、1歳半、3歳半、小中高生の学校健診、仕事上化学物質を扱う人などが対象となっています。従って、学校を卒業すると公的な歯科健診はありません。前述のように市町村が行う歯科健診や事業所が行う歯科健診はぜひ利用したいものです。そして将来の国民皆歯科健診に備え、今から「かかりつけ歯医者」をもつメリットは大きいと思います。いつでもお口の健康について相談できる、定期検診により治療の介入をできるだけ少なくする、お口の疾患を予防することが全身の疾患の予防になる、など、やはり「かかりつけ歯医者」を持ち、検診しているからこそだと思います。

当院をあなたの「かかりつけ歯医者」として認知してもらえたら幸いです。

どうぞお気軽に検診にいらしてください。お待ちしております。

仙台市泉区の歯医者 明石台歯科医院 かかりつけ歯医者
最新情報をチェックしよう!