保険の白い歯と自費の白い歯で何が違うのか?(前編)

仙台市泉区の歯医者 明石台歯科医院 保険の白い歯と自費の白い歯

皆さんは虫歯になったときに銀歯と白い歯、どちらで治療したいですか?おそらく白い歯で治したいという方がほとんどではないでしょうか。歯医者さんで白い歯で治療するという時、まずセラミックが思いつくかもしれませんが、実は保険の白い歯という選択肢もあります。では、保険の白い歯、セラミックの白い歯、この違いはどこにあるのでしょうか?

今度のコラムは、知っているようで意外と知られていない、その違いについて連載形式で解説していきたいと思います。まず今回は保険の白い歯について知識を深めましょう。

保険の白い歯

保険の白い歯は、現在適用できる範囲では大きく分けて以下の4種類あります。

① コンポジットレジン

一般的に用いられる材料で、小さな虫歯の詰め物の治療に使われます。歯を削る量が最小限に抑えられ、適用範囲が広いです。しかし、時間が経つと色が黄ばんできたり、摩耗によって噛み合わせが変わる、表面が荒れてプラーク(歯垢)がつきやすくなる等のデメリットがあります。また、強度で劣るので、大きな虫歯の治療には不向きです。

② 硬質レジン前装冠

前歯の差し歯の治療に使われる歯です。鋳造で作った金属の被せ物の上に、硬質レジンと呼ばれる材料を貼り付けた差し歯です。硬質レジンの強度はそれほど強くは無いので、噛み合わせに作用する部分には貼り付けることができず、歯の表(おもて)側だけが白くなります。また、コンポジットレジンと同様に時間が経つと黄ばんでくる、摩耗によって表面のツヤや輝きが失われ、プラークがつきやすくなってしまうというデメリットがあります。

③ 硬質レジンジャケット冠

主に奥歯のかぶせ物の治療に使われる歯です。耐久性に劣るため、現在ではあまり使われる事はありません。やはり、時間とともに黄ばみ、摩耗などが見られるようになります。

④ CAD/CAM(キャドキャム)冠

2014年から保険適用となった比較的新しいタイプの歯になります。歯の形をコンピューターで設計し、ハイブリッドレジンのブロック体をミリングマシンと呼ばれる機械で削り出すことによって作ります。最初は奥歯だけの適応でしたが、2020年には前歯での使用も認められ、今年(2022年4月)からは小さな詰め物にも使用できるようになりました。非常に優れた材料ではありますが、やはり時間とともに色の劣化や摩耗、プラークが付きやすいといったデメリットがあります。しかし、CAD/CAM冠の登場によって、保険診療で前歯から奥歯までほぼすべての歯を白い材料で治療できるようになりました。

保険の白い歯のメリット・デメリット

メリットは、なんといっても健康保険が適用されることです。つまり安価です。諸外国では歯科治療は非常に高額であることは有名な話(アメリカでは全額自費診療:10割負担です)ですが、これらの材料を気軽に使用できることが日本の保険制度の素晴らしい点です。

しかしデメリットは、あくまで必要な機能を満たすのに最低限の材料だということです。言い換えれば、保険の白い歯は、治療した直後はきれいですが、時間とともに変色、摩耗といった材料の劣化を認めます。後で説明する自費のセラミックに比べると、短期間で再治療の必要が生じてしまいます。また、プラークがつきやすく、再び虫歯になってしまう確率や歯周病を悪化させるリスクがつきまといます。

おすすめはどちらか?

やはり歯科医師としてどちらを勧めたいかと言われれば、圧倒的にセラミックをお勧めします。理由は単純で、綺麗で長持ちするからです。

たとえ保険治療であっても歯科治療はお金がかかりますし、時間もかかります。それだけのお金と通院する労力をかけて治療するのであれば、やはり良い治療を受けて、おいしい食事をいつまでも楽しんでいただきたいと思うのが歯科医師としての正直な気持ちです。それに、せっかく治療した白い歯が数年で黄ばんでしまったら、気持ちも落ち込むでしょうし、大きく口を開けて笑うこともためらわれるかもしれません。いつまでも白く輝く歯でいるためには、セラミック治療は欠かせません。

定期検診が重要

前からこのコラムを通して何度もお伝えしておりますが、定期検診が本当に重要です。久しぶりに歯医者さんに行ってたくさん虫歯が見つかってしまっては、全て治すための治療費は高額になってしまいます。そうするとセラミック治療を受けるのも諦めざるをえなくなるかもしれません。しかし普段から定期検診を受けていれば、たとえ新たな虫歯が見つかっても治療する箇所は、おそらく少ないでしょう。そうすれば、歯1本くらいであれば、良い治療を受ける余裕が生まれるかもしれません。

また自費で治した歯というものは、大抵の場合、愛着が湧いて、大事にしたいと思う方がほとんどです。そうすれば、自分のお口に対する関心が以前よりも強くなり、より虫歯や歯周病の予防に努めるようになるでしょう。つまり良いサイクルに入ることができます。

歯の価値を知っている人ほど、傾向的に自費治療を選択します。可能であれば自分のお口の中には良い材料を使用した、良い治療をしてもらいたいですね。

まとめ

保険治療だと、たとえ白く入れた歯が変色したり欠けてしまっても「どうせ保険だから仕方ない」のように捉えている方はいませんか?でもそれは非常に残念なことです。保険治療で詰めた白い歯や、白い被せ物だって、歯科医師や歯科技工士が一生懸命治療・製作したもので、全てオーダーメイドの特注品です。健康保険でカバーされているのでわかりにくいですが、それなりの費用と労力がかかっています。セラミック治療は高額ですが、それだけの価値があります。高額だからと諦める前に、一度お話だけでもご検討されてみてはいかがでしょうか。

次回のコラムでは、セラミックの歯について詳しく解説していきます。

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