周術期の口腔管理とは?(Part1)

仙台市泉区 明石台歯科医院 周術期 口腔管理

周術期とは、何らかの病気で手術をすることが決定した場合に
①手術前の時期
②手術当日
③手術後退院し外来通院する時期
のように手術日を含めた手術前後の時期のことをいいます。
歯科では、その周術期に医科で手術が適切に行われ、また手術後にその病気の治療がうまく進むように医科と連携してサポートする役割を担っており、この役割のことを周術期口腔機能管理(しゅうじゅつきこうくうきのうかんり)と呼びます。周術期口腔機能管理の内容は施設によって異なる場合がありますが、今回は、PartⅠ・Ⅱの2回に分けて、一般的な周術期の口腔機能管理についてご紹介します。

周術期口腔機能管理の目的

手術に伴う周術期口腔機能管理

手術前の対応

①問診

手術が決定すると、担当の医師から歯科のほうに口腔機能管理を要請されます。紹介状をもとに現在のお口の状態についてお伺いし、不具合が生じていないかを確認します。

②口腔内の診査

全身麻酔の手術の場合は、口や鼻から呼吸管理のためのチューブを入れることになりますが、その時にグラグラしている歯があると、チューブを出し入れする時にそのような歯が抜けて口の中に落下し窒息する危険があります。また、口腔清掃状態が不良だと、そのチューブに口の中の細菌が付着し肺炎を引き起こす危険があります。したがって、以下について診査します。
>グラグラしている歯がないか
>お口の清掃状態
>痛みや急性炎症が起こる可能性のある、重度の虫歯や歯周病の有無

③エックス線写真(レントゲン)検査

すぐに治療したほうがよい虫歯や歯周病などの異常がないか確認します。

④治療

手術前にしておいた方がよい虫歯治療や抜歯などを行います。歯周病治療も一緒に行い、口腔衛生状態を改善しておきます。また、抜歯する必要はないがグラグラしている歯がある場合は、固定したり、保護床(ほごしょう)というマウスピースを製作します。

手術直前の口腔ケア

手術前日には、歯科衛生士による口腔ケアを行います。これには、術前の口腔清掃状態を良好にして誤嚥性肺炎を予防することと、手術後もなるべく患者さん自らがお口の中を清潔に保てるようにすることが目的です。
そして、保護床を装着する場合にはその適合の状態を確認します。この保護床は、手術を行う医師に渡し、手術直前に装着することになります。

手術後の診察

手術翌日には、病室に往診し診察を行います。診察時に確認する内容は、保護床は外されているか、全身麻酔のチューブなどで口唇や口腔粘膜が切れたり荒れていないか、歯が脱落していないかなどを確認します。

手術後の歯科相談

手術後、退院時に改めて継続して治療が必要な虫歯や歯周病などがある場合には、かかりつけ歯科医院宛に紹介状を作成し、患者さんに渡すことになります。そのため治療の必要がある場合には、早めにかかりつけ歯科医院で治療を受けるようにしましょう。特に、手術後に化学療法を予定している場合には、化学療法中に歯科治療(特に抜歯などの出血を伴う処置)を行うと治りが良くないと言われていますので、化学療法を開始する前に歯科治療を終えておくのが理想的です。

まとめ

今回は、周術期口腔機能管理について、その目的や手術の際の手順についてお話ししてみました。何らかの病気になり、突然手術をしなくなってしまった事実に、どうしたらよいか大変不安になります。さらに医科に通うだけでなく、歯科も受診しなければならず、もし、歯科でも何らかの治療が必要だと言われたらどうしようとますます不安になります。
その時に普段から、かかりつけ歯科医院で定期検診をしていれば、突然歯科を受診してくださいと言われても、ある程度自分のお口の状況がわかっているので、それほど不安になることは少ないのではないでしょうか?やはり全身の健康を保つ意味でも、かかりつけ歯科医院を持ち、定期的に検診や歯のクリーニングなどのチェックを受けることが大切なことだと思います。
当院はこのように医科とも連携を取り、患者さんができる限り早く健康を回復するようサポートする体制を取っております。
当院をご自身のかかりつけ歯科医院としてどうぞご利用いただければ幸いです。

次回もこのお話の続きをいたします。次回は、がん治療の際の口腔機能管理につきましてお話させていただきます。どうぞ次回も宜しくご愛読願います。

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