あと何回で治療が終わりますか(前編)

仙台市泉区 明石台歯科医院 歯の治療

「先生、あと何回かかりますか。」「あと何回で治療が終わりますか。」このような質問は患者さんから日常的に聞かれるのですが、このような質問をされると答えに窮することがあります。なぜかと言いますと、歯科医療においては治療した際の患者さんの体の反応を確認しながら治療を進めますので、あと何回治療を受ければ確実に治療が終了するという保証はないからです。しかし、このような質問が出てくる背景として、「歯医者は時間がかかるもの」「歯医者は削って被せて終わり」という認識を持っている人が多いことが挙げられるのではないでしょうか。今回のコラムは、そんな身近な疑問である「あと何回で歯科治療が終わるのか」ということについて、2回に分けてお伝えしたいと思います。1回目の今回は「なぜ歯科治療は時間(回数)がかかるのか」という内容をメインにお話していきます。

歯科は自然治癒しない疾患が多い

歯科治療に時間(回数)がかかる理由の一つとして、歯科には自然治癒しない疾患(病気)が多いということが挙げられます。例えば、身近な歯科の病気である「虫歯」は、歯の表面に付着したミュータンス菌が出す酸によって、歯が溶かされる病気です。歯が溶けても、ある程度までは再石灰化により自然に治癒するのですが、溶け出した部分が一定の大きさを超えると自然には元に戻らなくなるので、治すためには治療が必要になります。
また、歯はヒトの体の中で硬組織(こうそしき)というものに分類されますが、同じ硬組織に骨があります。例えば骨折した場合、よほど複雑な骨折でない限りは、治療によって折れたところがくっつき再生することで元に戻ると思います。これは骨を作る細胞が体の中に存在するからです。
しかし、歯が折れてしまったら元通りにくっつくものなのでしょうか?答えはノーです。歯を残せる場合には差し歯を被せたり、セメントで接着するなど、人工物によって修復されます。これはヒトには歯を再生する細胞が存在しないからです。

つまり、歯が崩壊すると、歯科医師によって何かしらの手を加えないといけない(=自然治癒しない)ことが多いので、多くの場合、お話だけの診察というわけにはいかず、必然的にそれなりの時間を確保して治療を行う必要があります。さらには、詰め物や被せものは型をとって製作しなければならないため、それなりの治療回数が必要になってきます。

その歯だけを診るのかお口全体を診るのか

お口の中に問題が起こった時、歯科医師はその原因となる歯や歯ぐきだけを見ているわけではありません。例えば、歯が痛いと訴えて来院した患者さんのお口をみると、1本の虫歯が原因だったとします。でもお口全体を見渡すと磨き残しが多かったり、歯周病もあったりして、根本的に虫歯になりやすいお口の環境だったりします。また、レントゲンを撮ってみると、最初の訴えとは違うところに虫歯を見つけることもよくあります。
そうしたときに、単純に最初の訴えだけを治療するのか、悪いところ全部を治療するのかで治療回数は大きく変わります。特に、歯周病の治療は時間がかかることが多いので、歯周病の治療が絡むと「あと◯◯回で終わります」と断言することが難しい場合が多いのです。

患者さん一人ひとりのお口はまるっきり別物

そして、これは歯科に限ったことではありませんが、医療において患者さん一人ひとりはまったく別の個体です。ですから、病気に対する体の反応や受け入れ方は人それぞれで、画一的なものさしで測ることはできません。
例えば、歯の神経の治療。歯の神経の形は人それぞれ千差万別で、一つとして同じ形はありません。そのため、基本的な治療の手順に則って治療したとしても、治るスピードには個人差があり、「一般的には◯回くらいかかります」とは言えますが、「きっちり○回で終わります」とは言えません。
また、例えば入れ歯治療。入れ歯の設計は、歯を失った場所が同じでも、実は設計のパターンは複数あることが多いです。歯科医師はその中から最適と思われる設計を選んで入れ歯を作るわけですが、それが治療のガイドライン通りに作った入れ歯だったとしても、その患者さんのお口に馴染むかどうかは個人差もあります。ですから、入れ歯を作った後も調整が必要になったり、状況次第では違う設計の入れ歯を試してみることもあります。絶対的に正しい入れ歯の設計というのは存在しません。
歯医者は削って詰めて治すだけの「歯の大工」と考えている方もいるかもしれませんが、実際の治療はそんなに単純ではないのです。

治したら終わりではない

そしてこれが今回のコラムで最も重要なところですが、一連の治療が終了したら「これで全ておしまい。後は歯医者さんに来なくて大丈夫ですよー」というわけではないということです。
例えば、保険の銀歯。一度被せたら終わりだと思っていませんか?
お口の中は銀歯にとって非常に過酷な環境です。熱いもの冷たいもの、しょっぱいもの、酸っぱいもの、甘いもの、苦いものなど多種作用な飲料や食品にさらされます。そこに咀嚼という力が1日約2000回加わります。考えてもみてください。あなたの車のボディーにお湯と氷水と塩・酢・砂糖をかけて、木槌で1日2000回も叩いたとしたら。。。
ですから、時間が経てば当然銀歯やそれを歯にくっつけておく接着剤(セメント)に変化が起こります。これを放置すると、いつの間にか虫歯が再発してしまうわけです(もちろん、歯科医師はそうならないように、できるだけの処置は行いますし、劣化しにくいセラミックを勧めたりしますが)。
それに歯垢や歯石も一度きれいに取っても時間が経てば、また溜まってくるというのは容易に想像できるかと思います。ですから、治療が終わったとしても定期的な検診が必要になります。

治療が必要になる前に検診を受ける

多くの人は、学校や職場で年1回の定期検診や人間ドックを受けていると思います。それは、内臓や血液などの疾患は外見上の見た目では分からないことも多いからです。ですが、お口の中は鏡を使えば自分でも直接確認することができますし、歯がぐらついたり、歯ぐきから出血が続いたりしたら、これはおかしいと自分でも気づくと思います。
多くの場合、症状が出てからのほうが治療回数がかかります。ですから、ただでさえ多いと言われる歯科医院での治療回数を減らすためには、症状が出る前、すなわち治療が必要になる前に、定期的な検診を受けておくのが一番効果的だと考えられます。そのほうが、治療も小さくて済む場合が多く、結果として治療費の節約にもなりますし、メリットが大きいのではないでしょうか。
当院でも定期検診を積極的に勧めております。成人だけでなく、小児のためのキッズクラブもあります。「そういえば最近歯医者行ってないな」そう思った方はお気軽にいらしてください。

さて今回は「なぜ歯科治療は時間(回数)がかかるのか」という内容についてのお話でした。次回は「なぜ歯科医院は予約制なのか」という内容をメインに治療回数のお話をしていきたいと思います。

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