小児の虫歯治療 Part2

仙台市泉区の歯医者 明石台歯科医院 小児の虫歯

以前のコラム「小児の虫歯治療 Part1」では乳歯や生えたばかりの永久歯の特徴についてご説明いたしました。今回のPart2では、具体的な小児歯科での虫歯の治療方法についてご説明いたします。主に乳歯の虫歯治療に関しての内容となります。

COの場合:虫歯の予防、初期虫歯への対応

歯の最表層を、エナメル質といいます。エナメル質の範囲にとどまっている虫歯を、エナメル質虫歯といいます。エナメル質虫歯のうち、まだ虫歯の穴(う窩)ができておらず白濁や着色のみ(CO:しーおー)の場合には、もとの健康な歯に戻れる状態とされています。しかし、虫歯の穴があいてしまうと、もとの健康な歯に戻れない状態になってしまいます。そのため、エナメル質内に限局したまだ穴になっていない範囲で、虫歯をもとの健康な歯に戻してあげる必要があります。

虫歯にならないように予防する方法と、穴になっていないエナメル質虫歯の対応は基本的には同じです。
(歯のコラム「子どもの虫歯を予防するためには?」参照)

①毎日の歯磨き、生活習慣の改善

お子さんの場合は、小学校中学年くらいまでは仕上げ磨きをすることが大切です。また、歯磨きだけでなく、フロスも使用しましょう。そして、間食の内容や習慣的な飲み物についても気をつけます。

②フッ素の応用(歯のコラム「フッ素を虫歯予防に利用しましょう」参照)

フッ素の応用には主に3種類あります。1つ目は、フッ素入り歯磨剤の使用です。2つ目は歯科医院で行うフッ素塗布です。3つ目はフッ素洗口です。当院でもフッ素塗布とフッ素洗口を行っています。

③シーラント

生えたばかりの乳歯や幼若永久歯の奥歯の溝に行う、虫歯予防処置です。

C1~C2の場合:コンポジットレジン充填

虫歯の部分を削って、歯の色に近い白い詰め物で修復する治療方法です。基本的には、う窩がエナメル質内(C1)か、その次の層の象牙質の範囲にとどまっている場合(C2)に行います。治療は1回で終わります。詰め物は歯に近い白色ですが、時間が経つと少しずつ変色したり着色します。また、硬い食べ物を食べると欠けたり外れることがあります。

C3の場合:歯の神経の治療

う窩が象牙質より深くにある歯の神経にまで達した場合(C3)には、虫歯菌が感染した歯の神経を治療することになります。専門的には、神経がまだ一部で生きている場合には抜髄(ばつずい)という処置を、神経が完全に死んで虫歯菌が歯の根っこの先端の骨にまで及んだ場合には感染根管治療という治療を行います。どちらも、治療は数回かかります。そして、治療後は神経がないために歯が脆くなってしまうので、基本的には下記の乳歯冠(にゅうしかん)で修復します。

乳歯冠(にゅうしかん)

神経の治療後の歯や、虫歯で大きく崩壊している歯を修復する治療法です。いわゆる銀歯ですが、大人と違って型取りをして作るのではなく、歯を削ったその日のうちに既成品を歯の形に調整して被せます。また型取りを行って作る場合に比べて歯を削る量が少なくて済みます。小児の場合は歯科治療が苦手なお子さんもいるので、治療回数が少なくて済むのは大きなメリットです。

C4の場合:抜歯後の保隙(ほげき)

虫歯によって乳歯を抜歯をした場合に、永久歯が生えてくるまで期間が空く場合に装着する装置です。歯を抜いたままにしておくと、両脇の歯が空いたスペースに倒れてきたり、反対側の歯が伸びてきてしまうので、それを防ぐ役割があります。また、前歯の乳歯をけがや虫歯で早期に失った場合には、見た目を良くしたり、舌の悪い癖を防ぐ役割もあります。

また、永久歯を早期に失った場合にも、成長の途中では最終的な治療ができないので、一時的に保隙装置を使用する場合があります。

小児歯科と局所麻酔

虫歯治療をするときに、局所麻酔の注射をすることがあります。これは、歯を削ったり抜歯の時の痛みを感じなくするためです。痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的には象牙質まで達した虫歯を治療する場合には、削ることによる痛みがでますので、先に麻酔をしてから治療を開始します。注射の麻酔に先立って、歯ぐきに”表面麻酔”という塗り薬を塗ります。これにより歯ぐきの感覚が麻痺するので、針を刺す時の痛みを感じにくくなります。麻酔が効けば、う窩の深いところを削っても痛みはありませんので、快適に治療をうけることができます。ただし、子どもの場合、麻酔が効いていても歯を削る器械の振動や音、水しぶきなどに「痛い」と表現することがあります。そのため、お子さんの状況を見て麻酔をするかどうか判断することになります。

小児は体重によって使用できる局所麻酔薬の量が決まっていますので、その範囲内で使用します。また、稀に局所麻酔薬にアレルギーがあったり、患者さんの服用薬との相互作用があり使用できない場合がありますので、最初に問診票で確認いたします。初めて局所麻酔を使用する場合は保護者に同意を得て、確認してから使用するよう注意しております。

局所麻酔を使用した後は、麻酔が1~2時間程度効いています。その間にお子さんがいつもと違う唇や歯ぐきを気にして、噛んだり・いじったり・吸ったりすると傷がついて細菌が入り、口内炎になったり唇が腫れ上がることがあります。これを”咬傷(こうしょう)”といいます。咬傷になってしまっても自然に治りますが、そうならないように低年齢のお子さんの保護者には注意点についてご説明しております。

体を抑えての治療
※当院では基本的に行っておりません

小児歯科では、低年齢やなんらかの障害があるために、歯科医院の椅子で座ったまま治療を受けられない場合で、かつ緊急性が高い治療を行う必要性がある場合には体を抑えて治療をすることがあります。歯科では尖っている器具も多く、お口の中で薬品や小さな器具も使用します。また、歯を削る道具は高速で回転しているので、少しズレると唇や粘膜、舌を傷つける恐れがあります。

当院では、少し手が出る、多少顔を動かしてしまう程度であれば、保護者の同意の下で、スタッフが手をつないだりお顔を支えて治療することがあります。ただし、それ以上の激しい体動がある場合には事故のリスクがありますので、専門医療機関へ紹介をすることになっております。

まとめ

今回は、小児歯科の虫歯の治療方法についてご説明いたしました。

普段虫歯にならないように気をつけていても、あるとき突然歯が欠けて虫歯の治療をすることになります。また、まだ穴になっていなくても虫歯ができていることがあります。虫歯治療は小さなお子さんにとっては大変負担になります。そのためできる限り虫歯にならないように予防することが大切ですし、虫歯になっても軽いうちに対応しておきたいものです。

当院ではお子さんの定期検診を行なって、虫歯予防に努めております。

また、お子さんが快適に治療を受けられるように、スタッフ共々、日々工夫を重ねておりますので是非ご相談ください。

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